対談インタビュー
患者1人ひとりに寄り添い、負担を軽減。再生医療の力を信じ続ける整形外科医
今回インタビューにお答えいただいたのは、保険代理店のほか、薬局で薬剤師兼営業としてもご活躍されている那谷祐子さん。現在の働き方に辿り着くまでのキャリアの変遷や、薬剤師・保険販売のお仕事に対する想いなどについてたっぷり伺ってまいりました。
編集者
クラミー
まず始めに、現在の仕事内容について教えてください。
那谷さん
いまは、保険代理店での保険の販売が本業です。またそのほかに、薬局で薬剤師と営業の仕事も兼業で行っています。
編集者
りょうちゃん
どのような経緯を経て、現在の働き方にたどり着いたのでしょうか?
那谷さん
1からお話させていただくと、まず2008年に神戸薬科大学を卒業したのですが、実は現役で薬剤師免許を取ることはできなかったんです。国試に落ちてしまって。大学卒業後は、薬剤師免許が必須の職種ではないMRとして製薬会社に就職しました。
編集者
クラミー
MRは薬剤師免許がなくても就けるお仕事なんですね…!知らなかったです。
那谷さん
そうなんです。でも、ジェネリックメインではなく、いわゆる先発メーカーに入りたいと強く希望していて、ある程度志望企業を絞ったうえで就職活動を行っていました。ただ、この就活もなかなか難航して、40社ほど選考を受けたなかで唯一内定をもらえたのが大塚製薬でした。そして就職後、働きながら勉強を続けた結果、入社3年目で薬剤師免許を取ることができました。MRの仕事では3年間同じエリアを担当していたので、訪問先の先生にも「こっちに来なくていいから!薬剤師の試験のほうが大事でしょ!」なんて発破をかけられたこともあったり(笑)。
編集者
りょうちゃん
那谷さんのお人柄あってこその、励ましの言葉だったのかもしれませんね!
那谷さん
ありがとうございます(笑)。MRの仕事を5年ほどやったのち、結婚を機に退職しました。その後の転職先として選んだのは、病院薬剤師です。
編集者
クラミー
なぜ病院薬剤師に転職しようと思われたんですか?
那谷さん
転職を検討する場合、給料アップを目的としている方が一般的に多いと思うんです。なおかつ、仕事内容はそこまでハードではない所。ただ私は、「経験値を積まないとこれから先が大変だ」という危機感を持っていました。5年間MRの仕事をして、年齢はすでに30歳手前。薬剤師免許は持っていても経験はゼロ。この先もし出産などでブランクが生じた場合、なかなか社会復帰がしにくいのではないか、と。私が採用する側の立場だとしたら、ちょっとお荷物な人材だなと思ってしまいます。なので、経験値を増やすために病院に行こうと決めました。その際、希望条件として「200床以上」「当直がある」「循環器がある」を転職サイトの方に提示したのですが、「そんな人いません…!」と驚かれてしまいました(笑)。普通は「当直なし」「給料が良い」などを多くの方が希望されるようで。
編集者
りょうちゃん
あまりにも正反対で、びっくりされてしまったんですね…!
那谷さん
そうなんです。「年収が半分くらいになってしまいますけど本当に大丈夫ですか?」と何度も確認されました。それでも私は、急性期の当直がしっかりあって、なおかつ毎日たくさんの薬が出るような所に行きたかったんです。とにかく経験値を増やすために、多くの種類の薬に触れたかったので、仮に大変な思いをする転職になったとしても、そこで2〜3年働き続ければその次の転職に活きてくるはずだと私は考えていました。
編集者
クラミー
那谷さんなりの未来のキャリアプランをすでに描かれていたんですね。
那谷さん
はい。そこから、私の希望条件に合う病院を転職サイトの方に教えてもらって、その病院への転職が決まりました。確かに収入は下がりましたが、それでもかなり経験は積めたなと思っています。その後、病院薬剤師に転職してから2年半が経った頃、知り合いの医師さんに「友達が病院を経営しているんだけど、薬剤師が足りていなくて困っているらしい」という相談をされました。
編集者
りょうちゃん
詳しいお話を伺ってみたんですか?
那谷さん
はい。実際にご友人の先生にお会いして具体的な業務内容をお聞きし、「今の私にならできる」と思いました。病院では外科の病棟を担当していて、ガン患者さんの姿も見ていました。いただいたお話の病院は、規模は小さいですが胃腸科内科でガンを扱っているような場所だったので、抗がん剤の調整・服薬指導・病棟管理などが行える薬剤師を探していたようで。今まで経験してきたことがすべて活かせると思ったので、その病院に移ることを決めました。
編集者
クラミー
移られた先の病院ではどれくらい働かれていたんですか?
那谷さん
大体1年くらいです。夫の転勤の都合で広島に行かなければいけないことになって。広島に住む友人のお兄さんが薬局を経営していて、病院をやめた後はその薬局に転職しました。精神科の単科病院の前にある薬局だったので、患者さんはかなり症状が重い方が多くて。患っている病気柄、突拍子もない行動をする方も少なくはありませんでしたが、その分メンタルは鍛えられました。
編集者
りょうちゃん
同じ薬剤師でも、それまで働いていた病院とはまた違う環境だったんですね。
那谷さん
そうですね。広島に移ってから子どもが生まれたのですが、私にとって子育てはあまり苦労するものではありませんでした。普段仕事で接している患者さんは想定外の行動を取る方ばかりですが、それと比べると子どもの行動は基本的に想定内なので。ただ、子どもがだんだん大きくなるにつれて、ある懸念点がひとつ浮かびました。
編集者
クラミー
と、言いますと?
那谷さん
私は薬剤師・夫は製薬会社のMRという家庭だったので、家の中で交わす夫婦間の会話がほとんど薬のことで。例えば芸能人のどなたかがガンになったというニュースがテレビで流れたら、感情面の話ではなく、治療方針だったり使用するであろう薬だったりに自然と関心が寄ってしまうんです。そういった話が飛び交う家庭で育った子どもは、おそらく医療系の道に将来進むことを覚悟しておいたほうがいいだろうと思い始めました。そうなると、将来に備えてお金を貯めなければいけないな、と。
編集者
りょうちゃん
確かに、どうしてもお金はかかりますよね。
那谷さん
そうなんです。夫は転勤族なのでまた引越さなければいけなくなるかもしれませんし、そうなると帯同する私も転職せざるを得ません。それならば今のうちからお金の勉強を始めよう、と思いました。さらに、一番手っ取り早く勉強を進めていくなら、それを自分の仕事にして毎日触れる環境に身を置こう、とも考えて。当時、富国生命に勤めている方から勧誘を受けていたこともあり、保険会社に入ってFPの資格を取れば、お金についてじっくり勉強できるのではないかと思い、最初は腰掛けるつもりで始めました。
編集者
クラミー
なるほど…!医療とはまた異業種である保険のお仕事は、元々はご家族のことを考えて始められたんですね。
那谷さん
そうですね。保険会社に入った際に薬局薬剤師はアルバイトに切り替えさせていただいて、2足のわらじで仕事をするようになりました。
編集者
りょうちゃん
現在は保険代理店でお仕事をされているとお伺いしましたが、それまでの保険会社から移られたのはどのような経緯だったんですか?
那谷さん
保険会社で仕事をしていくうちに、「この会社のこの商品はお客さんにとって本当に幸せなものなのか」と疑問を抱くようになってきて。例えば、15年更新の商品は15年経ったら毎月の保険料が上がっていってしまうとか、90歳までしか入れない保険は長生きする方にとってはあまり良くないのではないかとか。会社の商品だけで勝負するのではなく、少し環境を変えてみようと思い、現在の保険代理店に移りました。
編集者
クラミー
保険代理店と保険会社とでは、仕事内容が異なってくるのでしょうか?
那谷さん
はい。代理店では、さまざまな保険会社の商品を扱っています。お客さんの要望を伺ったうえで、1人ひとりに見合った会社の商品をご提案することができるんです。保険会社のように自社の商品をセールスする形ではないので、お客さんもより納得して商品を選べます。私自身も「このやり方は良いな」と納得して仕事に臨めるようになりました。
編集者
りょうちゃん
なるほど。ただ商品を売るのではなく、お客さん1人ひとりの人生に寄り添おうとしている那谷さんの想いが伝わってきます。
那谷さん
特に医療従事者の場合は転職率が高く、つまり勤続年数によっては退職金が出ないケースがあります。そうなると、自分の手で資産を形成してお金を貯めないといけません。ただ、正しい貯め方などの基礎的な部分を知らない方が多い印象を受けるので、同じ医療従事者として、未来に備えた貯蓄のお手伝いができたらいいなと思って今は保険代理店の仕事を本業としています。
編集者
クラミー
保険代理店と兼業で、現在は薬局で薬剤師業務のほかに営業のお仕事もされているとお伺いしました。
那谷さん
はい。とある交流会に参加した際、現在働いているしろくま薬局の営業の方とお話する機会がありました。「薬剤師免許保有」と書かれた私の名刺を見たら、すぐさま「うちに来ませんか?」「単発でいいのでぜひ入りませんか?」とお誘いをいただいて。私自身、単発で薬剤師の仕事をやりたかったこともあり「ぜひ!」とお引き受けしました。
編集者
りょうちゃん
なぜ単発のお仕事を探されていたんですか?
那谷さん
そもそも、単発の薬剤師の求人ってほとんどないんです。経営者側からすると、わざわざ求人を出すためだけに派遣のサイトを使ったら、薬剤師への報酬にプラスでサイト側にも料金を支払う必要があります。正社員ならまだしも、突発的な単発の募集でサイトを使いたいとはなかなか思いません。なので、単発で薬剤師を探すときは、口コミか知り合い伝いくらいがベストらしくて、私自身もそういった経営者側の方々とつながりたいとずっと思っていました。
編集者
クラミー
なるほど。縁や人脈が、単発のお仕事に結びついていくんですね。
那谷さん
そうなんです。その後、しろくま薬局の方と話を進めていくなかで、これまでの経歴もお聞きいただいたら「これだけ営業のご経験があるなら、ぜひうちの薬局でも」ということになり、今は薬局で営業の仕事もやっています。
編集者
りょうちゃん
那谷さんのキャリアの歩みを一通りお伺いして、すべて未来を見据えたうえでの選択の連続だったことが伝わってきました。
那谷さん
そうですね、常に先を見て行動するタイプではあると思います。転職の際に先々のことをよく考えたうえで動いておいて本当に良かったなと、いま振り返ってみても感じますね。
編集者
クラミー
転職を検討されている方は、つい目先の給料などに意識を向けがちだと思うのですが、自分が何をやりたいのか、このまま進んだら自分はどうなっていくのか、今一度よく考えたほうがいいということでしょうか。
那谷さん
おっしゃる通りかと思います。私は経験値を増やすために病院に行くことを選びましたが、加えて「自分ならではの“できること”」が欲しいなと考えていました。これが転職の際に武器になるかどうかはその時々によって異なってくるものの、自己研鑽は必要なのではないでしょうか。
編集者
りょうちゃん
多少きつい思いをしたとしても、後々に活きてくるものなのであれば、それもまた〈経験〉ということですね。
那谷さん
そうですね。私は面倒くさがりなタイプなので、仕事をしながら知識を培いたいと思って、給料が減ってでもしんどい思いをしてでも、経験を積むことを最優先させました。給料アップや余裕のある働き方を目的として転職することも悪いとは思いませんが、その転職によって生まれた余白のなかで、知識なり経験なりを積む時間は作ったほうがいいと思います。現状維持でも問題はないと思いますが、ひとつ飛び抜けたことをしたかったり、自分自身の手で何かをやっていきたかったりするのであれば、それ相応の努力が要るのではないかと。
編集者
クラミー
「あのとき頑張っておいてよかった」と思う日がいつか絶対訪れますもんね…!
編集者
りょうちゃん
「今」が苦しいあまり、なかなか先を見据えられずに目の前のことに囚われて、とにかく現在の状況から逃げ出したいと思っている方は決して少なくないと思います。そういった方に、キャリアや人生に関するアドバイスをするとしたら、那谷さんはどんな言葉をかけますか?
那谷さん
目標を立てることが大事だと思います。自分が何をしたいのか、どんなキャリアを作っていきたいのか、ぜひ考えてみてください。目標といっても、何でもいいんです。年収をこれくらいまで上げていきたいとか、患者さんにこんな風になってもらいたいとか。どんな方向性でもいいので、目標を何かしら設定しないと動き出せないと思います。
編集者
クラミー
結局現状のまま、悶々としてしまいそうですよね。
那谷さん
そうですね。また、病院や薬局はとても狭い世界です。他の病院や薬局でお仕事されている方と話してみると、自分にとっての当たり前が決して当たり前ではないことに気付かされることが多くて。例えば認定薬剤師などの資格を取る場合、外部での研修が設けられていると思うので、ぜひ外の方々と積極的に交流してみるといいと思います。視野が広がることによって、自分にとってのキャリアのヒントも見つけられるかもしれません。
編集者
りょうちゃん
確かに、同じ場所にずっといたら考えが凝り固まってしまいそうですよね。
那谷さん
そうなんです。また、ひとつ意識してほしいのが、あくまでも勉強や自己投資自体は目標にはならないということ。それらは目標ではなく〈手段〉です。目標を立てる際も、「◯◯の資格を取る」ではなく「こんな自分になる」を軸にしてほしいです。資格取得などは、目標を叶えるための通過点でしかないので、そういったことに気付けて動き出せると、状況は良い方向に変わっていくと思います。
【取材後記】
保険会社勤務時代の経験と知識をもとに、相談者一人ひとりに適した保険を提案する“愛ある保険代理店”として、業務を行っている那谷さん。モットーは「1人ひとりの人生に寄り添う保険」。保険の選び方が分からない、どんな保険があるの?といった初歩的な相談から、自分にあった保険とは?という具体的な相談まで、真心で答えてくださる保険パートナーさんです。
那谷さんへの相談はコチラから!(https://lit.link/yuko0722)
【インタビューに答えてくれたのは…】
那谷祐子(なたに・ゆうこ)さん
薬剤師/保険代理店
元病院薬剤師、MR
1984年生まれ(39歳)
【経歴】
2004年 神戸薬科大学 入学
2008年 神戸薬科大学 卒業
2008年 大塚製薬 MRとして就職
2013年 大阪回生病院 薬剤部 入職
2016年 まちだ胃腸科内科 薬剤部 入職
2017年 こごみ薬局(広島 草津病院門前)
2020年 フコク生命 就職
2022年 ファイナンシャルジャパン 就職