対談インタビュー
人をつなぐ〈縁〉と〈愛〉を大切に。未来への布石を打ち続ける薬局薬剤師
今回インタビューにお答えいただいたのは、一生自分の足で歩ける足づくりを目指すケアサロン『Kalanchoe』を運営する、大貫香菜子さん。作業療法士として働きはじめてから、エステサロンなどを経てケアサロン開業へ至った道のりや、「フットケアを広め、健康の連鎖を」という優しくて熱い想いをたっぷり伺ってきました。
編集者
クラミー
まずはじめに、現在のお仕事内容を教えてください。
大貫さん
ハンドケアやフットケアをメインとした、ケアサロンを経営しています。そのほかにも、デイサービスで作業療法士としての勤務もしています。
編集者
りょうちゃん
“フットケア”という単語にあまり馴染みがありませんでした。具体的にどのようなことをするのでしょうか?
大貫さん
お爪の形を整え、足裏やお爪の角質ケアをしています。作業療法士としての経験や、エステティシャンとしての経験を活かして、健康と美容を掛け合わせた、月に一回の癒しのようなケアが出来たらな、と思っています。
編集者
クラミー
作業療法士から、美容の業界へ入られたキッカケはなんだったのでしょうか?
大貫さん
病院で働いていた時に、たまたま患者さんにネイルをする機会があったんです。その患者さんは、つい数分前の記憶も保たない方だったのですが、2日経ってもネイルをしてあげたことを覚えていてくださっていて、それがとても嬉しくて。
編集者
りょうちゃん
その患者さんも、ネイルをしてもらえて嬉しかったのでしょうね。素敵です!それから美容へ興味を持たれたのですか?
大貫さん
いえ、その時は「介護美容」という言葉も知らなかったですし、仕事にしようとも思っていなかったんです。ただ、「すごいな」と感動が強く印象に残っていて。それからしばらく経った数年後に、インスタグラムで介護美容の広告が流れてきて、その時の出来事を思い出して興味を持ったことがきっかけです。
編集者
クラミー
なるほど。その出来事が、時を経て今に繋がっているのですね。広告を目にして介護美容に興味を持ってからは、まず何をされたのでしょうか?
大貫さん
まずは介護美容のスクールに通い始めました。そのカリキュラムの中の一つにあったフットケアに興味をもち、より知識を身に付けようと、別のアカデミーに入ってフットケアとハンドケアを専門的に学びました。
編集者
りょうちゃん
なるほど。介護美容の中から、特に興味を持ったフットケアの道へ進んで行かれたのですね。
編集者
クラミー
フットケアに注力されたのには、何か理由があったのでしょうか?
大貫さん
学んでいる過程で、自分の周りの人にフットケアの練習をさせてもらっていたのですが、同年代でも負担のかかっている足の方がたくさんいて。「身体が疲れたらマッサージに行こう」「癒されたいからエステに行こう」と思う人はいるけれど、「足にもケアが必要だ」という意識を持っている人がほとんどいないことに気づいたんです。本当はケアが必要なのに、若さでカバー出来てしまっているんだな、と。
編集者
りょうちゃん
確かに、足が少し痛くても、何とか耐えてしまいます。耐えられる若いうちには、足のケアに意識が向かないかもしれませんね。
大貫さん
はい。タコやウオノメがある状態が“普通”になってしまって、痛くても“異常”だと認識されていない方が多くて。若いからこそなんとかなっていても、歳をとっていってそれを積み重ねてしまうと、足が動かなくなってしまう。介護予防は親世代になってからだと思いがちですが、若いうちからケアをすることで、いつまでも自分の足で歩けるようになると考えたんです。
編集者
クラミー
なるほど。その想いが、ケアサロンへ繋がるのですね。
大貫さん
はい、若い方に提供するのであれば、サロンという形がベストかなと思い、ケアサロンを始めました。
編集者
りょうちゃん
病院にはなかなか足が向かない方も、サロンなら気軽に行けそうです!
編集者
クラミー
サロンを始める前に、経営の勉強はされていたのでしょうか。
大貫さん
いえ、経営の勉強はしていなくて、一からのチャレンジでした。そもそも、自分が正社員を辞めるなんて思ってもみなかったです。
編集者
りょうちゃん
サロン開業へ至るまでに、病院での勤務だけでなく、正社員も経験されていたんですね。
大貫さん
はい。エステの会社に勤めていました。病院で作業療法士をしてから、一度病院を離れて正社員になり、その後現在のサロンを経営しながら、作業療法士の仕事に戻ってきています。
編集者
クラミー
一度病院を離れて、エステの会社へ入られたきっかけは何だったのですか?
大貫さん
少し身体を痛めてしまったのもあり、「一旦作業療法士をやめよう!」とだけ決めていたんです。しかし、今まで作業療法士一本でやってきたこともあって、特別「これをしたい」といったものもなくて。転職活動をしてたまたま入社したのがエステの会社でした。
編集者
りょうちゃん
病院を一歩でると、違うことが多くて戸惑いますよね。エステの会社から、また作業療法士の仕事に戻られたり、現在のサロンを開業されたりする間には、どんな過程があったのでしょうか?
大貫さん
エステの会社から転職した一番大きな理由は収入面でした。そこから介護の会社へ転職して1年くらい正社員として働いて。そのうち広告に出逢って「介護美容をやっていきたい」という思いが芽生えました。
編集者
クラミー
色々な職を経験されていますが、全部現在のサロンへ繋がっていますね。
大貫さん
はい。エステの時に学んだ手技を活用したり、作業療法士としての知識を活用したりと、今までの経験が現在のサロンにとても活きているのを実感します。
編集者
りょうちゃん
サロン開業へ踏み切るには、やはり勇気がいりましたか?
大貫さん
私の場合はありがたい環境があったので、それが踏み切る大きな理由になりました。一度サロンにすると決めてからは、フットケアの先生の後押しもあり、勢いでどんどん進んでいきました。
編集者
クラミー
心を決めてから、勢いを保てた源は何だったんでしょう。
大貫さん
「やりたい」という想いですね。フットケアって、やってみると驚くほど変化しますし、皆さんに知っていただきたいのに、まだまだ足に意識を向けてもらえないんです。だから、「知ってもらえる機会をもっともっと作っていきたい」「いつまでも自分の足で歩ける、元気な人を増やしたい」という想いが、推進力になりました。
編集者
りょうちゃん
やはり、そのフットケアを広めたいという想いがずっと変わらずにあるんですね。
編集者
クラミー
最後に、今後の展望をお聞かせください。
大貫さん
まずは、サロンにお客さんを増やすことを目標にしています。そしてお客様を増やすこと以上に、フットケアのことや、フットケアをする価値を知って、楽しんでいただける人を増やしていきたいです。
編集者
りょうちゃん
足は、ずっと自分を支えるものですもんね。足のケアをする大切さが、より認知されれば嬉しいですね。
大貫さん
はい。歳を重ねると、人は簡単に歩けなくなってしまいます。介護の場面でも、誰かの手を借りないと行きたいところへ行けない辛さはよく耳にするんです。友達と旅行に行きたいと思っても、その時には友達が歩けないかもしれない。だから、フットケアを知った方が、自分が大事にしたい人、歳を重ねても元気でいてほしい人に、フットケアを広げていく、健康の連鎖が出来たら嬉しいですね。
編集者
クラミー
いつまでも、行きたい場所に自分の力で行けるような足でいたいですね。本日はありがとうございました。
【インタビューに答えてくれたのは…】
大貫香菜子さん
作業療法士免許を取得し病院へ入職。
エステティシャンの経験を経て、デイサービスにて作業療法士としての勤務を再開しながら、ケアサロンカランコエをオープン。一生自分の足で歩ける人を増やすためにフットケアを提供している。