対談インタビュー
人をつなぐ〈縁〉と〈愛〉を大切に。未来への布石を打ち続ける薬局薬剤師
今回インタビューにお答えいただいたのは、11(ピンピン)薬局を運営している薬剤師の達藤さん。達藤さんが独立を決意した理由や、将来的な〈夢〉に対する強い想いのほか、独立を目指している方への心持ちに関するアドバイスなどについてたっぷり伺ってまいりました。
編集者
クラミー
まず始めに、現在の仕事内容について教えてください。
達藤さん
11(ピンピン)薬局という調剤薬局を運営しています。ただ、私は教育やマネジメントが好きなので、薬局運営は信頼できる別の人間になるべく任せて、企業として大きくなっていけるよう、薬局外での営業活動に重きを置いています。
編集者
りょうちゃん
先を見据えた動きを精力的に行われているんですね。
達藤さん
そうですね。在宅医療や介護関係の方々と関わり合うことも多いです。また、私は麻雀が趣味なのですが、この麻雀も仕事における人脈作りにつながっているので、あらゆる場面での〈縁〉を大切にしています。
編集者
クラミー
私はゴルフをするのですが、確かにゴルフでの交流が仕事によくつながります。ちなみに、11薬局という名前の由来は何ですか?
達藤さん
ピンピンと元気に、1人1人が1分1秒でも永く、幸せに、共にを叶える薬局にしたいという思いでつけました。
編集者
りょうちゃん
なぜいまの場所で薬局を開こうと思われたんですか?
達藤さん
場所に関しては、正直運でした。独立を目指して動いているときに出ていた薬局のM&A案件のなかで、自分に拾えるレベルのもので一番「やってみたい」と思う場所がここだったんです。でも、いまとなってはこの場所を選んで良かったな、と本当に思います。
編集者
クラミー
薬局周辺はデイサービスが多いですよね。
達藤さん
そうですね。高齢者率が高いエリアなので、薬局の需要はかなり高いのではないかと思います。その一方で、将来的には子育て支援に力を入れていきたいと考えていて。ただ実際にそれやるには相応の資金が必要になってくるので、いまは、将来やりたいことをやるための力をためているといったところです。
編集者
りょうちゃん
子育て支援に力を入れたいと考えている理由は何ですか?
達藤さん
前職の薬局が、小児の患者さんがよく来られる場所で。もちろん親御さんも一緒なのですが、子どもに対して「あなたが風邪を引いたせいで仕事に行けなくなった」など、かなりキツい言葉を放つ親御さんが少なくない印象を受けました。
編集者
クラミー
心理的な余裕がない親御さんが多いのかもしれませんね。
達藤さん
幼少期の家庭環境はその後の人生を左右する要素をたくさん含んでいると思うので、子どもが健やかな愛を享受できるよう、医療的側面から子育て支援に関わってみたいと考えるようになりました。この話は前職の社長ともよくしていて、社長も同じような想いを抱えていたようでした。
編集者
りょうちゃん
想いが通じ合う社長さんの元を離れて独立しようと思った理由についてもぜひ伺いたいです。
達藤さん
好奇心が強かったからです。「自分の力でやってみたい」という気持ちがかなり大きくて、仮に失敗したとしても、比較的またすぐに立ち上がることができるのが薬剤師資格の良いところなんじゃないかな、と。実際、独立してみて良かったな、と、後悔はまったくないです。
編集者
クラミー
達藤さんが経営者になったことで、意志を共にしている前職の社長さんとの間に良い相乗効果が生まれそうですね…!
達藤さん
そうですね。「あんなことをしよう」「こんなことをしよう」といったお話はよくさせていただくのですが、やっぱりワクワクしますね。
編集者
りょうちゃん
経営側に回ったことで初めて得た気づきなどはありますか?
達藤さん
方向性などをあまりガッチリ固めすぎずに独立して良かったと、いまとなっては思いますね。将来的なビジョンは、経営しながらどんどん鮮明になっていくものなんだな、と。
編集者
クラミー
昨今は起業や独立を志している方が増えてきていますが、そういった方々の背中を押すとしたら、達藤さんならどんな言葉を選びますか?
達藤さん
私は、人生の中の選択において「後悔しないこと」を一番大事にしています。死ぬときに、笑いながら「良い人生だった」と思いたくて。とはいえ自分がいつ死ぬのかはわからないもの。いつ“その時”が来てもいいように、自分にとって後悔のない選択は何なのか、よく考えてから判断するようにしています。
編集者
りょうちゃん
新しい一歩を踏み出そうとしている方々にとって、大きく響く言葉だと思います…!一方で、独立して初めて気づいた「あれはやっておいたほうがよかった」「こんな覚悟は持っておくべきだった」といったものは何かありますか?
達藤さん
正直、何もないんです。大変なことはもちろんたくさんありましたが、でも、「あのときああしておけば」と思ったことは一度もなくて。やるべきことは自分なりにやり尽くしたうえで臨みましたし、実際に独立してみて悪いことは何もありませんでした。
編集者
クラミー
達藤さんにとって後悔のない選択だったからこそ、その後においても後ろを振り返ることなく突き進めるんですね…!
達藤さん
「後悔しないようにするぞ」という気持ちが人一倍強いのかもしれませんね。多少「ミスしたかも」と思ったとしても、そこで立ち止まらないようにはしています。
編集者
りょうちゃん
達藤さんが経営されている11薬局のような、地域密着型の薬局薬剤師に向いている方はどんなタイプだと思いますか?
達藤さん
人付き合いが好きであったり、その地域の飲食店や理容室などに日頃から足を運んでみたりと、ホスピタリティの精神に基づいたコミュニケーション力がある人は向いていると思います。周りをよく見て、頭で考えて自分から動いていけることも大事です。
編集者
クラミー
地域に根差した薬局は、やはり人と人との距離感が近いんですね。
達藤さん
そうですね。良い関係を築いていきたいので、地域住民の方々を思いやる気持ちは大切にしています。
編集者
りょうちゃん
一方で、淡々と作業するのが好きな方などは、どちらかといえばより組織的でシステマチックな薬剤師の仕事のほうが向いているのでしょうか?
達藤さん
そうかもしれません。でも、どちらが良い/悪いということでもないと思うんです。マニュアルに則って仕事をこなしていくのもひとつの特長ではあります。私は「適材適所」という言葉が好きなのですが、自分に合った場所で個性を活かしながら働くのが良いと考えていて。なので、仕事ではあまり競い合わないようにしようとも思っています。
編集者
クラミー
単にその人に合っていないだけで、個性を活かせる場所が別にあるはずなのに、「自分は仕事ができない人間なんだ」と塞ぎ込んでしまう方もいると思います。そういった方にこそ、いまの達藤さんの言葉を届けたいです…!
達藤さん
また、適材適所のほかに、「ABC」も大切にしていて。
編集者
りょうちゃん
ABC…と言いますと?
達藤さん
高校の時に生徒指導の先生がよく集会で言っていた言葉で、「当たり前のことを、ボーッとせず、ちゃんとやる」の頭文字を取ったものです。社会に出てからはこの言葉の重要性を身に染みて感じていて、何より難しいけれど出来れば評価されると思います。そして当たり前のことを、日々研鑽するのがとても大事なのではないか、と。
編集者
クラミー
最後に、今後の展望について教えてください。
達藤さん
地域住民や近隣の医療従事者の方々とさらに深くつながっていけるよう、引き続き地域密着型の薬局として医療に貢献していきたいです。ただ、社会福祉の力になれるのであれば何でもやっていきたいとも思っているので、近隣地域だけに限定せず、より広い視野で動いていけたらと考えています。
編集者
りょうちゃん
先ほどお話されていた、子育て支援も将来的に形にしていきたいところですよね。
達藤さん
そうですね。小児医療の分野に関しては、これからもっと営業活動に力を入れていきたいです。自分としてはここが一番やりたいところではあるので、まだそこまで手を広げられていない現状に歯がゆさを覚えてはいますが、いまできることから着実に取り組んでいきたいですね。
【インタビューに答えてくれたのは…】
達藤さん
薬剤師、薬局経営者
保有資格:薬剤師、調理師
HP:https://pinpinpharmacy.jimdofree.com/
〈経歴〉
2017年4月:高槻の調剤薬局に新卒として入社
2018年6月:放出の調剤薬局に入社
2023年8月:ケイトパイプ株式会社を設立
2024年2月:11薬局を開局