対談インタビュー
看護師の悩みを減らし、やりがいと楽しさを増やしたい。2児の父が発信する、〈活かす〉ための知識と選択肢
今回インタビューにお答えいただいたのは、看護師資格を活かした副業の経験から、そのノウハウや専門知識を発信する山﨑さん。2児の父親として家族との時間も大切にしながら、SNSやセミナーを通して、全国の看護師へ「やりがいと楽しさ」を広めています。そんな山﨑さんに、看護師が抱える働き方の現状や、副業を始める人へのアドバイスなど、たっぷりと伺ってまいりました。
編集者
クラミー
まず始めに、現在の仕事内容について教えてください。
山﨑さん
4年ほど前から、看護師資格やICUでの経験を活かして副業をしてきました。2024年7月に看護師を辞め、現在はその副業経験で学んだことを元に、個人事業主として副業のコンサルティング事業をしています。また、看護師の楽しさを伝えつつ知識や人間力を高めていけるような養成講座のコミュニティをリリースしており、今後はそれを広げてゆくつもりです。
編集者
りょうちゃん
看護師として働きながら、副業を始められたきっかけはなんだったのでしょうか?
山﨑さん
現在8歳と4歳の子どもがいるのですが、家族との時間を全く取れなくなってしまったことがきっかけです。妻も看護師としてフルで働いているので、時間的に入れ違いになってしまって。また、僕自身「金銭的に余裕を持ちたい」とアルバイトを始めたところ、疲労から家族を後回しにしてしまったり、挙げ句の果てには八つ当たりしてしまったり・・・。「このままじゃダメだ!」と思い、“お金と時間を作れる働き方”をするべく、副業を始めました。
編集者
クラミー
看護師の方々にお話を聞くまでは、医療職は安定していて高収入なイメージを持っていました。現実は、時間的にも金銭的にもシビアなお仕事なのですね。
山﨑さん
僕自身SNSを通して500人近い看護師に話を聞いてきましたが、多くの方がお金のことにも不満をお持ちです。というのも、看護師のお給料は夜勤ありきで。夜勤がある時には月20後半〜30万円程度の収入が得られるのですが、結婚や育児などでワークライフバランスが変化し夜勤が出来なくなると、20前半万円程度になってしまうんです。だから、みなさん勤務時間やお給料に不満を持ちつつも「仕方ないよね」と言いながら働いている印象ですね。
編集者
りょうちゃん
家庭のあるベテランの方より、夜勤や残業を沢山される若手の方が手取りが高くなる、なんてこともあると一度お伺いしたことがあります。
山﨑さん
その通りだと思います。病院の規模にもよりますが、ぶっちゃけ勤続年数による給料はあまり変わらないですね。また、夜勤が出来るといえど病院のルールや労働基準もあるので、入りたい時にたくさん入れるわけではなくて。どうしても収入が足りない分は、看護師資格を活かせる訪問看護や、施設で単発のアルバイトをして賄っている方も多いです。ただ、病院の7割程度が副業禁止でもあるので、「どうすれば…」という相談も多く受けますね。
編集者
クラミー
厳しさもある反面、看護師のお仕事には素敵なところや、やりがいもあると思います。どんなところに惹かれますか?
山﨑さん
今でこそ現場を離れていますが、僕は看護師のお仕事が大好きです。特にやりがいを感じるのは、知識や経験がさらなる経験に繋がっていると実感できたときや、指導した後輩が育っていってくれたとき。ただ、実感できるようになるまでは厳しい過程が続きますね。僕も、3,4年目くらいまでは「辞めたい」と思いながら働いていました。
編集者
りょうちゃん
それはやはり、先ほどお伺いした金銭面や勤務時間が原因なのでしょうか?
山﨑さん
それに加えて、人間関係もあると思います。やはり看護師の方は病院という限られた空間にいるため、組織の価値観に縛られてしまうんです。悩みの分散させ方が分からなかったり、逃げ道を知らなかったりと、真面目すぎるが故に疲弊してしまうことが多くて。僕が副業のコンサルティング事業をしているのも、1つの本業に依存しない状態へ繋げたい、という思いがあるからなんです。
編集者
クラミー
「看護師資格を活かした副業」とは具体的にどのようなことをされているのですか?
山﨑さん
自分の強みってなんだろう」と考えた末に辿り着いたのが、ICUでの経験や知識を詰め込んだ動画コンテンツの販売でした。全国に知識不足で悩んだり恐怖を感じたりしている看護師がたくさんいるにも関わらず、病院にいる知識を持った看護師たちは、その病院の後輩にしか知識を伝えられないことが、非常にもったいないな、と思ったんです。だからこそ、その知識や経験を補ったり繋げたり出来るようなビジネスを展開していきました。
編集者
りょうちゃん
そしてそのビジネスの形を、現在はキャリアを持つ全国の看護師の方に伝えていっているのですね。
山﨑さん
はい。多くの看護師は、自分が貴重なキャリアを持て余していることに気付いていないんです。認定看護師や専門看護師などの資格を持っているにも関わらず、病院の中では月数千円の価値にしかならないケースも多くて。病院でのお給料が増えないのであれば、それを自ら発信して収入を得るしかない、と思ったので、そのビジネス構築のお手伝いをさせていただいています。
編集者
クラミー
これから副業を始めたい方や、自分のキャリアを使って新たな一歩を踏み出そうとしている方に、山﨑さんからアドバイスはありますか?
山﨑さん
やはり「えいやっ!」と飛び込む力が大事だと思います。もちろん情報収集などの準備も大切ですが、時間が経てば経つほど「やらない言い訳」が出てきてしまうので。あなたの人生にとって絶対に失敗にはならないから、「やってみたい」と思ったらまず飛び込んでみて、と伝えたいです。僕自身、今までに350〜400万円くらいビジネスに投資してきたのですが、それを1つも失敗だとは思っていなくて。それがあったからこそ、今があると思っています。
編集者
りょうちゃん
一見失敗かと思われることでも成功に繋げていく覚悟があるからこそ、の行動力ですね。
山﨑さん
はい。やはりゼロから稼いでゆくためには、もの凄い覚悟と行動力が必要です。成果が出ている人は、それなりの行動を起こしているってことですから。覚悟が必要だからこそ、誰でも彼でも「副業やってみたら」とはおすすめできないですね。
編集者
クラミー
実際、副業に憧れた方がいざやってみても全く続かない、という話も耳にします。
山﨑さん
続けられない方の中には、自分の「やりたいこと」に気づけていない方が多いのかな、と思います。見えないゴールに向かっては、努力出来ませんから。僕が副業を始めたきっかけは「お金と時間を作りたい」でしたが、そんな動機でも続けてゆくうちに、自然と自分が熱中できる「発信したいこと」を見つけられました。逆に「やりたいこと」を見つけられるまでは、導いてくれる人に頼ったり、ビジネスの基礎を学んでみたりするところから始めても良いと思います。自分の方向性を探して、マインドを整えながら、成功に繋げていけたら良いですね。
編集者
りょうちゃん
山﨑さんが副業をやってよかったことや、やりがいを感じたことはなんですか?
山﨑さん
一番は、子どもとの時間を作れるようになったことです。今では毎月のように子どもと旅行に行けていますし、今年の夏休みには34日間まるまる沖縄で過ごすこともできました。今までは、夏休みにも関わらず毎日学童に入れることになってしまい、申し訳なさやもどかしさを感じていたのですが、時間やお金を理由に諦めてしまっていたことを実現できて、とても嬉しいです。
編集者
クラミー
沖縄に34日間も!それはお子様も嬉しかったでしょうね。
山﨑さん
はい。家族の大切な思い出になりました。また旅行だけでなく、毎日の送り迎えや朝ごはんなどのちょっとした時間でも、今までは「はやく、はやく!」「仕事あるから急いで!」と時間に追われていたのですが、今では余裕を持ってコミュニケーションを取りながら送り出せているので、家族にとってプラスになったな、と思っています。
編集者
りょうちゃん
最後に、今後の展望について教えてください。
山﨑さん
看護師の悩みを減らして、やりがいや楽しさを増やしていきたいです。そのために僕が続けていきたいことの一つは、知識の発信。看護師の中でも「知識がないから看るのが怖い」と思っている方は多くいますし、実際僕もその悩みを経験してきたので、今知識をつけた僕がそれを発信することによって、より多くの看護師が自信を持って好きなことを目指せるようになれたらいいな、と思っています。
編集者
クラミー
臨機応変に患者さんと関わらなければならない看護師という職業だからこそ、幅広い知識の有無が、不安にも自信にも直結しますね。
山﨑さん
また、病院という閉ざされた空間の中で価値観を狭めてしまう看護師たちが、幅広い価値観に触れられる「ナースカフェ」のような空間を作りたいと考えています。気楽に訪れて、看護師の仲間と悩みを相談できたり、一般病棟の看護師とICUの看護師がスキルを教え合えたりして、高め合えるような。そんな場所を広げてゆき、看護師としてやりがいを感じながら楽しく働ける人を増やしていきたいです。
編集者
りょうちゃん
気軽でありながら学びにも繋がる空間、素敵ですね!山﨑さんの取り組み、応援しています!
【インタビューに答えてくれたのは…】
山﨑 広大さん
看護師、ICU
フリーランス
【経歴】
看護師11年(循環器内科2年、ICU9年)を総合病院、民間病院で勤務。
2024年度7月より個人事業主として活動。
現在は看護師が全身管理を学べる【ナースcafe〜ステージアップ養成講座〜】の運営や看護師副業のサポートをメインに活動。
【インスタ】
https://www.instagram.com/kodai.nurse22?igsh=MXVpajUycjZidzhubQ==&utm_source=qr