医師は職業柄、労働時間の明確化は非常に困難です。少々古式ゆかしいですが、患者のために自分を犠牲にして体を張るのが医者であろう、プロフェッショナルとしての矜持を全うするのは至極当たり前のことだ、という風潮が、まだまだ存在します。
しかしながら、もちろん弊害も発生しています。医師の長労働環境は問題視されており、プライベートの時間を全く取れなかったり、自身の健康を阻害してしまう人もいます。幼稚園教諭のように、いわゆる「やりがい搾取」という面があるのも否定できないでしょう。
時代の流れか、管轄官庁も対応策を打ち出しています。厚生労働省による「令和3年度 医師の働き方改革について」では、法改正により最初に実現すべきこととして、「長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備等」が掲げられています。
具体的には、2024年4月から開始される「時間外労働の上限規制」があります。医師と言えども一人の働き手ですから、逆に今まで規制が無かったということに驚くべきかもしれませんが、ようやく法的にも、時間の規制が図られることになりました。
その他にも、医師の体を守るための「追加的健康確保措置」など、様々な改正が行われ、義務化されることになります。遅ればせながらではありますが、お医者さんの労働環境が、徐々に一般的な企業並になってきた、とも言えますね。
巷ではSDGs(持続可能な開発目標)などという言葉が持て囃されていますが、誰でも安心して病を治せる医療を維持していくためには、医師の十分なケアが大変重要です。将来的に医師の働き方改革がどう功を奏すのか、今後見守っていきましょう。