世界の寿命に触れる前に、平均寿命と健康寿命の意味をおさらいします。
平均寿命とは、厚生労働省が毎年発表する「簡易生命表」による0歳時における平均余命のことです。亡くなった方の平均年齢ではなく、調査時点で生まれた0歳児が、今の死亡状況が変わらなければ平均的に生きられる年齢を指しています。平均寿命は一般的に、医療技術や生活習慣の改善により、増加すると言われています。
一方、健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標で、「日常生活に制限のない期間の平均」です。これは、日常生活動作が自立し、健康で過ごせる期間のことを指します。
WHOが発表している183か国を対象とした2019年の世界の健康寿命を見てみると、日本は健康寿命が長い国の1位にランキングしています。2位はシンガポール、3位は韓国、4位はスイス、5位はイスラエルとキプロス共和国です。このように、世界の健康寿命の比較だけすると、日本は世界の中でも生涯、健康的に過ごす方が多い国だと見受けられますが、平均寿命と比較するといかがでしょうか。
健康寿命が長い国トップ5の国々の平均寿命と健康寿命の差は、健康寿命1位の日本では10.2年、2位のシンガポールでは9.6年で、3位〜5位の国でも約10年の差があります。一方で、平均寿命と健康寿命の差が少ない国はアフリカ諸国に多く、健康寿命も平均寿命も短いという結果が表れています。
健康寿命が長い国は、医療が発達し平均寿命が健康寿命よりもさらに長くなり、結果として医療や介護が必要となる期間が10年近く生じていることがわかります。健康寿命と平均寿命の差を縮めるためには健康的な生活習慣と疾病予防が大切です。
ピンピンコロリという言葉が日本にはあります。「病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにころりと亡くなる」といった標語で、実は論文にも発表されているものです。理想的な亡くなり方と言う方も多いでしょう。誰もが苦しむことなく生涯を楽しんで終えるため、ピンピンコロリをめざして、国全体・世界全体で取り組むことが大切になります。
引用:(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-shakai/sekai-kenkojumyo.html)