政府は各種子育て支援に取り組み、税制面での優遇措置や、子どもの育成をサポートする動きを見せています。しかし、婚姻率も低調のままであり、経済的な活気にも大規模な伸長が見られない中、残念ながら効果が得られているとは言えないのが実情です。
困難な時代を迎えている中、目を惹く言葉として、「2025年問題」があります。全人口の30%以上が65歳以上となり、高齢化社会がさらに進むことにより、様々な社会問題が顕在化、深刻化してくる年として、人々に認知されつつあります。
当該問題は、医療にどのような影響を与えるでしょうか。一番わかりやすいのは、医療費や介護費の増加でしょう。年齢を重ねれば病気がちになってしまうのは、人間が生物である限り仕方がないことですが、治療にはどうしたってお金がかかります。保険制度が崩壊の危機に直面しつつあることを意味します。
また、労働力の不足という重大な事象にも直面します。そもそも働き手の数が少ないので、医療を提供しようにも、肝心の医師や看護師が足りなくなります。老々介護の問題と類似していますが、高齢の医師が高齢の患者を診ることも、今後余儀なくされるでしょう。
何だかネガティブな将来しか描けない様相を呈していますが、一方で、業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用など、新たな試みも取り組まれています。人間を手助けしてくれるロボットの登場にも、今後より期待したいところです。
それでもどうしても、今の人口構成に鑑みると、即2025年問題が解決されることはありません。別の観点で、無理がある過剰な医療を見直す、といった時期がやってくる可能性があります。医療に携わる者として、心の準備だけはしておきたいですね。