対談インタビュー
患者1人ひとりに寄り添い、負担を軽減。再生医療の力を信じ続ける整形外科医
今回インタビューにお答えいただいたのは、アーユルヴェーダ/フランス式アロマAIサロン&スクールを運営する唐渡亜依さん。アーユルヴェーダもフランス式アロマも、日本ではリラクゼーションの範疇ですが、海外ではどちらも正統な医学です。日本医療とは毛色の違うこの道に進もうと思った理由や、エステティシャンに対して抱く想い、「世界中を笑顔にしたい」という壮大な夢などについて、たっぷりとお話を伺ってまいりました。
編集者
クラミー
唐渡さんの現在の仕事内容を教えてください。
唐渡さん
インドの伝統的な予防医学であるアーユルヴェーダとフランス式アロマを取り入れた、自然療法のサロンを運営しています。
編集者
りょうちゃん
アーユルヴェーダ、一度施術を受けてみたことがあります。びっくりしました…まるで別次元に意識が飛ばされるような…!
唐渡さん
そうなんです。額にオイルを垂らされながら瞑想に入っていくと、まさに次元の狭間にいるかのような、眠っているのか眠っていないのかわからないくらいの感覚になりますよね。〈究極のリラクゼーション〉と呼ばれることもあります。これは「シロダーラ」という、アーユルヴェーダ医学の施術のうちのひとつです。
編集者
クラミー
インドでは、アーユルヴェーダは医療なんですよね。
唐渡さん
はい。アーユルヴェーダ専門の医師もいて、患者さんを診た際は主に3つの処置を行います。シロダーラは、一番始めに行う処置にあたります。その次に、バスティと呼ばれるデトックス作用のある処置をして、最後に行うのは〈食〉です。
編集者
りょうちゃん
食生活を改善させるということでしょうか?
唐渡さん
そうですね。綺麗になった身体には、やっぱり良いものを取り入れるべきで。身体は元々食べ物から作られています。そもそもインドはカレーがよく食べられている国ですが、スパイスをたくさん使った料理を食べると元気になれるんです。スパイスはいわば薬草ですし、日本の漢方に近いものがありますね。
編集者
クラミー
アーユルヴェーダの施術は日本で言うところのエステをイメージしますが、インドでは最終的に食べ物に行き着くんですね…!
唐渡さん
インドだと、アーユルヴェーダのための施設もあります。朝早く起きて、朝日を浴びて、白湯を飲んで、ヨガやシロダーラを行って…そんな生活を施設で2週間ほど送ると、まるで何もかもから解放されたような気持ちになれるんです。
編集者
りょうちゃん
身体にとっても心にとっても必要なことを、トータルでサポートしてくれるんですね…!
唐渡さん
日本は、調子が悪かったら病院に行って薬を処方してもらうのが当たり前ですが、インドではちょっと違うんです。本当の意味で健やかになるために、日々の生活を根本から整えていきます。
編集者
クラミー
唐渡さんは元々看護師のお仕事をされていたとお聞きしました。日本の医療を見てきた時期もあったかと思うのですが、なぜアーユルヴェーダの道へ進もうと思われたのでしょうか?
唐渡さん
私の故郷は香川県の高松市で、周りは本当に自然が豊かでした。例えば食事を作る際も、スーパーで野菜を買うのではなく、畑から採ってくるのが基本で。海も近かったので、魚が食べたかったら釣ってきて、卵を食べたかったら鶏を飼って…という、自給自足の環境で育ってきました。その後、18歳の時に大阪に出てきたのですが、それまでに経験したことのない肌荒れに見舞われてしまって。
編集者
りょうちゃん
えっ…!そうだったんですね…環境の変化のせいでしょうか?
唐渡さん
そうですね。故郷とは違う環境や空気、あとはストレスなども原因だったのかなとは思います。元々肌は少し弱いほうではあったのですが、アトピーやアレルギーも発症するようになってしまって。アレルギーは、ほこりやダニ、花粉、動物など…特に動物はショックでしたね。実家では当たり前のように猫や犬を飼っていたのに、いきなりアレルギーを引き起こすようになって。
編集者
クラミー
確かに、好きなのにふれ合うことができないのはつらいですよね…。
唐渡さん
そんなときに、医療の知識を身につけていけば、自分の身体に対して何かできることがあるんじゃないかと思うようになりました。そこから、まずは勉強のために看護師資格を取り、看護師として働きながらさまざまな薬を試しました。飲み薬のほかにも、ステロイドを塗ったり注射を打ったり…ただ、一時的に症状は抑えられても、完治はしなくて。そんな生活をするようになってから5年ほど経った頃、知り合いからアーユルヴェーダのことを教えてもらいました。
編集者
りょうちゃん
アーユルヴェーダのどんな所に惹かれたのでしょうか。
唐渡さん
インドのアーユルヴェーダは、鉱物・動物・植物など、自然由来の素材を使って治療するということを聞いたとき、腑に落ちるものがあって。私自身も香川にいたときは自給自足で、言わば自然の恵みを取り入れ続けてきて、ずっと健康でした。その後環境が変わって、スーパーなどで買ったものを食べるようになったら不調が現れるようになって。身体にとって良いものを体内に入れるのが大事なんだと改めて実感しました。薬の力で抑えることはできても、それは根本治療にはならないんだと。それを教えてくれたのがアーユルヴェーダでした。
編集者
クラミー
地元から離れてしばらく経った後に看護師になろうと思われたということは、当初は別の理由で大阪に出てきたのでしょうか。
唐渡さん
実は、元々の夢はペットトリマーだったんです。大阪ではトリマーの学校に通っていたのですが、動物アレルギーを発症してしまったせいで夢は断念せざるを得ませんでした。
編集者
りょうちゃん
そうだったんですね…。夢が叶えられなくなったダメージは大きいですよね。そこから、自分の身体と向き合うためにも医療の道へ進まれたんですね。
唐渡さん
そうですね。医療の基礎知識をつけるために、まずは看護師資格を取りました。看護師の仕事は病院でのアルバイトだったのですが、東洋医学や西洋医学に関する学びも並行して深めていくなかで、健康や美容に関する分野にもっと注力したくなったので、エステサロンをオープンしました。それが25〜26歳くらいのときですね。
編集者
クラミー
勢いというか、行動力がすごいです…!
唐渡さん
漠然とではあるのですが、昔から「世界中を笑顔にしたい」という想いを変わらず持ち続けていて。そのためには自分に何ができるんだろうとずっと考えていました。
編集者
りょうちゃん
とっても素敵な想いだと思います!
唐渡さん
エステサロンを経営しながら健康や美容と向き合い続けているときに、アーユルヴェーダと出会って、予防医学の力に感銘を受けて。その後看護師は辞めて、エステサロンの仕事に注力するようになりました。ただ、1対1でお客様と向き合うことはできても、元々の想いにも通ずる〈みんな〉を笑顔にするのはなかなか難しいなと感じて。そこから、自分が持っている技術を他のサロンさんに教えるのはどうだろうかと思うようになり、スクール事業を始めました。
編集者
クラミー
なるほど…!〈みんな〉への、唐渡さんの想いが伝わってきます。実際、手応えはいかがでしたか?
唐渡さん
1つ感じたのは、アーユルヴェーダなど、自分が習得してきた技術を教えれば教えるほど、自分にも知識がさらに染み込んでいくんだなと。1対1の施術よりも、サロンさんに教えているときのほうが、自分自身も日々の生活のあり方を意識するようになりました。早起きをするとか、白湯を飲むとか、ヨガをするとか…先ほどお話したような、インドでは当たり前に行われていることをしっかり実践するようになったら、アレルギーなどの症状が自然と落ち着いてきたんです。
編集者
りょうちゃん
そうだったんですね…!最終的には完治されたのでしょうか?
唐渡さん
いえ、実はここで、〈究極の予防医学〉と呼ばれるフランス式アロマとの出会いがあって。今から5年前になるのですが、このフランス式アロマを通じて、自分の症状は完全に治ったんです。そこでもまた衝撃を受けて、自分だけではなくもっとたくさんの人を救いたい、喜んでもらいたいと改めて思うようになり、フランス式アロマも仕事として本格的に始めるようになりました。
編集者
クラミー
フランス式アロマを知ったキッカケは何だったんですか?
唐渡さん
アーユルヴェーダの一貫としてヨガをやっていたのですが、フランス式アロマを教えてくれたのはヨガの先生でした。「アーユルヴェーダよりもっとパワーのある、〈究極の予防医学〉があるんだよ」と。「どんな症状の人にも効く」ともおっしゃっていて、にわかには信じられませんでした。
編集者
りょうちゃん
確かに…まるで人類全員を救えてしまうような…!
唐渡さん
アロマというと、リラクゼーションであったり、良い香りを嗅いで落ち着いたりといった嗜好品のイメージが強いですが、フランス式アロマはあくまで医療用で。認知症のケアにも効果的だと先生から聞いたときは本当にびっくりしました。
編集者
クラミー
認知症ですか…!?
唐渡さん
驚きますよね。精神疾患にも効くと言われて、ただただ不思議だったのですが、まずは詳しい話を聞いてみようと思って、フランス式アロマのメーカーさんを尋ねてみました。アーユルヴェーダがインドでは正統な医学であるのと同様に、フランスでもアロマはあくまで医学で、ドクターは患者さんの症状に合わせてアロマを調合して処方するのだそうです。なので薬局では、薬ではなくアロマがずらっと並んでいるんです。
編集者
りょうちゃん
日本とは全く違う光景ですね。
唐渡さん
日本の雑貨店だと、アロマ売り場には必ずテスターが置いてあるじゃないですか。皆さん、香りを嗅いでから商品を手に取ると思います。ですがフランスの薬局にアロマのテスターはありません。香りの好みではなく、あくまで症状別に処方されるものだからです。
編集者
クラミー
日本にも漢方薬はありますが、確かに味で選ぶことはしないですよね。それと同じことなんですね。
唐渡さん
まさにそうですね。アロマは嗅覚を通じて香りを感じるものですが、鼻は脳と繋がっているので、アロマの効能がそのまま脳に行き届くんです。ホルモンや神経なども、大元を辿っていくと脳に行き着くので、いわば脳は人間の身体の根源で。なので、脳を回復させることは、あらゆる身体の不調の改善にも影響をもたらすんです。腰痛や生理前のPMSにも効くんですよ。
編集者
りょうちゃん
す、すごい…!!万能薬じゃないですか!
唐渡さん
本当ですよね。私自身は不眠症にも悩んでいて、睡眠導入剤をよく飲んでいました。薬を飲めば一応眠れはしますが、起きたときにいつも嫌なだるさが残っていて。ただ、「一番よく売れているのが、睡眠の質を高めるアロマだ」というお話を伺って、私も試してみたんです。そうしたら、もう驚くくらいぐっすり眠れました。起床時は腰痛にも悩んでいたのですが、この痛みも全くなくて。ああ、これが本当の睡眠だったんだと身をもって実感しました。また、生理前はとにかくイライラしてしまうタイプだったのですが、これもアロマのおかげでかなり治まるようになりましたね。「優しくなったね」と周りの人にも言われたりして。
編集者
りょうちゃん
PMS、私も日頃からかなり悩んでいるのでとても気になります…!
唐渡さん
おすすめです(笑)!身体の調子が良いと、こんなにも穏やかに人と接することができるのかと思って…これをもっともっと広めていけば、私の目標でもある「みんなを笑顔にする」という想いが叶えられるんじゃないかとより確信しました。
編集者
クラミー
昨今は、医療ではない側面から、美容系のサロンを開くことを目指している女性も多いと思います。例えば、非医療用ハイフは資格がなくてもサロンで使うことができますが、看護師資格を持っている唐渡さんは、この辺りについてどう思われますか?
唐渡さん
個人的な意見だと、最低でも准看護師の資格は持っておいたほうがいいのかなとは思います。准看護師の資格があると、例えば眉毛アートを行うことができたりとか。
編集者
りょうちゃん
なるほど。医療資格を持っていると、より深い所まで施術ができるんですね。
唐渡さん
看護師の資格を持っておくことで、予期せぬトラブルがあったときも処置がしやすいです。
編集者
クラミー
確かに、施術を受ける側からしたら、資格を持っている方のほうがより安心できると思います。頼もしさがあるというか。
唐渡さん
そうですよね。やっぱり、心を開いてもらって安心感を与えないと、本来効くべきものも効いてくれないんです。
編集者
りょうちゃん
精神の状態も、施術に影響を及ぼしてくるんですね…!
唐渡さん
なので、安心材料のひとつとして、国家資格は確かな強みにはなるのかなとは思います。もちろん民間の資格にも良いものはありますが、日本はやっぱり国家資格に一定の権威性があるので。国で定められたきちんとした資格を持っておくことで、自分もお客様も安心できますし、何かあったときには確実に武器になると思います。
編集者
クラミー
唐渡さんは若くしてサロンを開業して、これまでさまざまな経験をされてきたことかと思います。今サロン経営を目指している方へ向けて、アドバイスやメッセージなどがあればぜひお聞きしたいです。
唐渡さん
元々サロンを経営していくなかでは、とにかくお客様をもっと元気にしたいと思って、目の前の知識を深めることに集中していました。例えばニキビができたらこの商品を使って、こういう風にケアをして…と。ただ、それだけではなくて、意識すべき部分はもっと根本的な所なんです。
編集者
りょうちゃん
先ほどもおっしゃっていたような、まさに日本の医療とインドの医療の違いですよね。表面的に治すのではなく、根本の軸から変えていって、結果的にその産物としてお肌が綺麗になったり。
唐渡さん
おっしゃる通りです。身体の状態を良くするのは結局自分自身の力なので、そういった所に関する医療的知識をエステティシャンも持っておくことが、これからの時代にますます求められると思います。コロナ禍を通じて、お客様の意識が以前と変わっているのをとても感じました。どうしたら健やかな毎日を送ることができるのか、皆さんが自分自身と向き合う時間が増えていったのだと思います。
編集者
クラミー
確かに、私自身も家の外に出る機会が減って、なんとなく気が滅入ってしまったことがありました。肌も荒れて、メンタルの状態が身体の調子にダイレクトに繋がっていることを感じた所から自分でも色々調べるようになりましたね。
唐渡さん
健康志向が世の中的にも高まっているからこそ、身体も心も包括的にケアすることがとても大切だと思います。私自身にも言えることですが、今エステティシャンを目指している方にはぜひトータルケアの技術を身につけてほしいですね。
編集者
りょうちゃん
今後の展望について、考えていることは何かありますか?
唐渡さん
「世界中を笑顔にしたい」という想いは今も変わらず持ち続けていて。自分ひとりだけが笑顔になれても楽しくはないので、最終的にはみんなで助け合えるような環境を作りたいと思っています。やっぱり、いくら健康であったりお金をたくさん稼いでいたりしても、お金は価値がなくなったらただの紙切れだし、日本の人口はどんどん減っているし、物価もどんどん上がっているし…でも、世の中がどう変化していったとしても、みんなが手を取り合える生活を送ることができれば、きっと笑顔があふれるはずだと信じています。
編集者
クラミー
昔も今も、唐渡さんの夢はずっと一貫しているんですね…!
唐渡さん
そうですね。変わらないひとつの想いがあって、そこに向けて今まで走り続けてきました。看護師の他にも、実は世界中の資格を取得しているんです。インドのアーユルヴェーダもそうですが、タイ式マッサージや、ハワイのマッサージであるロミロミなど。いずれも海外だと治療にあたるのですが、日本ではリラクゼーション扱いで、その点を疑問には思いつつも、ならば日本の根強い医療資格は持っておいたほうがいいだろうと考えて看護師の資格を取りました。ただ、色々な国に出向くなかで、やっぱり根本治療に勝るものはないと思うようになって、その最たるものがアーユルヴェーダで。
編集者
りょうちゃん
日本というひとつの場所に囚われず、さまざまな国の文化に触れてきたからこその気付きだったんですね。
唐渡さん
そうですね。ただ、私がアーユルヴェーダを始めた10〜15年前は、世の中は今ほど健康ブームが湧いていたわけではなくて。当時は整形などの美容医療が注目されていましたが、それでも私は根本治療の力を信じ続けてきました。コロナ禍に入ってからはアーユルヴェーダの施術は一時的に休止せざるを得ませんでしたが、かたやフランス式アロマは急速に売れ行きが伸びていきました。おうち時間が増えて、外に出ずとも得られる癒しを求める人が増えたのだと思います。
編集者
クラミー
「世界中を笑顔にしたい」という想いの求心力が、唐渡さんの歩みを強く導いていったんですね…!
【インタビューに答えてくれたのは…】
唐渡 亜依(からと あい)さん
エステサロン運営
フランス式アロマテラピスト協会準講師
フランス式アロマ総代理店
アーユルヴェーダ講師 / 元看護師
1級FP技能士/CFP
香川県出身。大の動物好きからトリマーの学校へ進学。
動物アレルギーや環境の変化でアトピーが悪化しトリマーを断念。これをきっかけに医療・美容の世界へ入る。
西洋医学と東洋医学を同時に勉強し始めて徹底的に理解を深める
2012年:AIサロン創業。
2016年:5,000年の歴史があるインドのアーユルヴェーダという『予防医学』と出会い講師活動を行う。
2018年:日本にはない究極の予防医学との出会いがあり、西洋医学ではアプローチが難しいストレス、不眠、鬱、認知症まで予防できることに感銘を受け自身も病気が完治『薬に頼らない健康づくり』重きをおいたサロン経営と健康、医療、美容の経験から“世界中の人達が病気、ストレスなく楽しく生きる”為にはまずは日本の身近なサロンを元気にすることと感じ究極の予防医学を使ったサロンオーナー向けの集客、リピート戦略の為のコンサル、講座を行っている。