教育と研究の双方に携わり
大学教授として学生を導く

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

現在の加藤さんのお仕事内容を教えてください。

加藤さん

加藤さん

いまは主に、大学教授として授業や実習といった学生への講義を担当しています。加えて研究室にも所属しているので、研究指導も行っています。大学院生の研究や学部生の卒業論文のテーマになる研究指導という形ですね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

薬学部の卒業論文というと、学生さんが研究のお手伝いをするような形なのでしょうか?

加藤さん

加藤さん

そうですね。私の大学の場合だと、3年生の11月頃に研究室配属というものがあります。各研究室で、さまざまな研究が行われているんです。特別研究のような卒業に必要な単位があるので、学生は数ある研究室の中から希望のものを選んで、一緒に研究を進めていきます。その中で新たに取り組んでみたい研究が出てきたら、それも行ったりして、最後に研究結果をまとめて卒業するという流れです。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

学生さんとの関わりがとても多いお仕事なんですね!

加藤さん

加藤さん

そうなんです。人数も300人ととても多いので、1学年の中でも本当にいろいろな学生がいますね。研究が好きな子もいれば、薬学を学びたいという気持ちが強い子もいますし、なかには「単位だけ取れればいいや」という子もいたり。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

確かに、さまざまですね…!教育と研究の両方をやられているということでしたが、ご自身の中でバランスを取りながら取り組まれているのでしょうか。

加藤さん

加藤さん

そうですね。いまは両方がいいバランスで交わり合っている感じがします。例えば、薬の副作用の実験を研究室で行っている時、講義の中で重篤副作用などの新しいニュースに関する内容を取り扱ったりすると、それが研究のヒントになったりするんです。ただ場合によっては、講義内の実習だけで2〜3ヶ月かかったりもするので、それが終わり次第急ピッチで実験を進めることもあります。そういった意味では、時間配分的なバランスは常に考えるようにしていますね。

薬剤師という職業を
もっと深く知りたくて

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

薬剤師の免許を元々持たれているんですよね。免許を取られたキッカケや、教授になった経緯などについてぜひお聞きしたいです。

加藤さん

加藤さん

最初に薬剤師になろうと思ったのは、高校生の時ですね。当時祖父ががんで亡くなって。治療のために、薬もかなり飲んでいました。元々医療系には興味を持っていて、祖父のこともあって薬への興味も膨らんでいきました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

そうなんですね。そこから薬学部へ進まれていったんですか?

加藤さん

加藤さん

はい。とはいえ大学に入った当時は、まだ将来自分がどうなりたいかは定まっていなくて。ただ、その大学が当時では珍しく、臨床系にかなり力を入れていました。薬剤師の免許が取れることも分かってはいたんですけど、まだその職業が具体的にどんなものなのかイメージはできていませんでした。周囲から、病棟や患者さんのところへ行くこともあるというような話を聞いていくうちに、薬剤師って面白そうだなと思うようになって。大学生のいつ頃からか、病院や薬局の薬剤師になりたいと志すようになりました。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

なるほど。大学生のときに、未来の自分が少しずつ見え始めたんですね。

加藤さん

加藤さん

ただ、それでもまだ薬剤師という仕事がよく分からなかったんです。例えば身近な親戚に聞いても、薬剤師のことはよく知らないようでしたし、それなりに大変な思いをして薬学部に入った割には認知度がそこまで高い職業というわけではありません。だから、もう少し勉強しようと思ったんです。臨床コースの大学院に進むことを決めました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

勉強熱心ですね…!

加藤さん

加藤さん

臨床コースはいろいろな大学に設置されていて、その中で、大阪大学の大学院に連携大学院の制度がありました。この制度を通じて、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター/以下国循)内の研究室で2年間学べることを知って。多くの大学院が、1年臨床・1年研究という形が一般的で、自分が行っていた大学もそうでした。せっかくなら、2年間どっぷり勉強したほうが薬剤師の立ち位置がはっきりと分かるのかなと思い、大阪大学の大学院に進学しました。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

そうだったんですね。そして大学院を出た後、薬剤師になられたんですね。

加藤さん

加藤さん

はい。三重県にある四日市社会保険病院(現JCHO四日市羽津医療センター)の薬剤師として勤務していました。大学院で国循に在籍していた際、いま私がいる大阪医科薬科大学の先生と間接的に知り合いになったんです。その中で、辞める人がいるので良かったらうちに来ませんか?とお話をいただいて。それが大学へ行くキッカケですね。最初は教務職員として入って、その後助手や准教授を経て、今年の春に教授になりました。

忘れられない師匠の言葉
「薬剤師はサイエンティストであるべきだ」

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

それまで病院の薬剤師としてお仕事をされていて、職場を大学に変えるっていうのは未知のことだと思います。そんな未知の世界へ、どうして行ってみようと思ったんですか?

加藤さん

加藤さん

そうですね、自分がかつて指導を受けていた国循の先生の影響が大きいですね。その先生は当時だと珍しく、TDM(※1)という、血中濃度を測定して薬を最適化したり副作用を防いだりする適正使用に熱心に取り組んでいる方でした。先生はよく、「臨床の現場の薬剤師は、サイエンティストであるべきだ」とおっしゃっていました。要は薬剤師とは科学者であって、薬学の知識で理論武装したうえで病棟に行くべきだ、と。先生は論文もたくさん書かれていて、博士の学位も持っていました。先生は、自分の教え子には博士の学位を持っている先生がいる病院に進んでほしいと思っていたみたいで。私も教え子にあたるので、就職した病院には実際に博士を持っている先生がいましたね。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

先生の指導の影響をかなり受けていたんですね。

加藤さん

加藤さん

はい、まさにその通りで。薬剤師の業務をしつつ、同時に研究にも取り組むのがいいんじゃないかと思うようになって。当時、はるばる名古屋から実習生としてやってくる学生たちがいて、自分もその大学の研究生に入れてもらいました。土日は彼らと一緒に研究室にこもって、研究に取り組むという生活が続いて。そんな中でいただいたのが、大阪医科薬科大学に来ないかというお話でした。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

なるほど。職が変わることについて、不安には思われませんでしたか?

加藤さん

加藤さん

全く知らない場所に飛び込むことになるので、もちろん不安ではありましたね。ただ、当時現場で感じていたのが、大学病院があるせいか、医師はある程度医局との繋がりが強いんです。大学と常に密接に関連しているように感じられて。一方で薬剤師は、完全に大学から切り離されているといいますか、別世界のような感覚がありました。そういう意味では、もう1回大学に戻ってみるのもアリなんじゃないかと思って。もし上手くいかなかったら、また薬剤師の現場に戻ればいいかなと。少し不純な考えですが…(笑)。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

そんなことはないと思います…!薬剤師の現場にいる時から研究にも取り組まれていたということでしたが、興味の比率としては、研究のほうが大きかったのでしょうか?

加藤さん

加藤さん

いや、そう言い切れるわけでもなくて。やっぱり医療人なので、〈患者さんのために〉というポリシーを大きく持っていた時もありました。ただ、患者さんありきとはいえ、現場に行くと結構あやふやなことも多くて。薬剤のデータも新しいものがどんどん出てきている中で、患者さんに行っている治療が本当にベストなのか?と。師匠でもある国循の先生は、薬学的な視点を薬剤師がしっかりと持っていれば、医師とも看護師とも違う役割を担えるんじゃないかとおっしゃっていました。それこそが薬剤師に真に求められるものなんじゃないか、と。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

まさに、先ほどもおっしゃっていた「サイエンティスト」ですね。

加藤さん

加藤さん

はい。なので、薬剤師業務と研究と、どちらがどうと比べるのもなかなか難しいですね。特に私がいたのは中小の病院だったので、業務を外して研究に没頭することはまずできませんでした。薬剤部の中には、研究すること自体を快く思われていない方もいたりして。まずは業務を回してくれと。なので対外的には、薬剤師業務のプラスアルファ的な形で研究に取り組むようにしていました。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

なるほど。でもやっぱり、現場を実際に見ているからこそ、良い効果もありそうですよね。研究にも同時に取り組まれているというのは。

真の意味での多職種連携を目指して
薬学的な観点を持ち続ける薬剤師に

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

一般的な社会人から、薬剤師へと異業種転職される方も多いと伺っています。薬剤師に向いているタイプや、薬剤師と親和性があるような素質って何だと思いますか?

加藤さん

加藤さん

調剤業務なので、物事をきっちり処理していく人のほうがミスが少なくていいのかなと思います。ただ、今はあらゆる機械の性能が進化しているので、それだけでもいけないなと。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

機械に取って代わられることのない、人間ならではの素質…ということでしょうか?

加藤さん

加藤さん

そうですね。まずは医療人なので、〈患者さんのために〉という心を持っておくことは大事だと思います。それから、薬学的な視点を常に持って、現場で率直に疑問を投じれることがこれからの薬剤師に求められるんじゃないかなと。医師の診断も、100%の絶対的なものではないので。まだ薬剤師の世界に入る前の人に「薬学的な視点」というのも難しい話かもしれませんが、いわば〈常に考え続ける〉といった人が現場にいると良いと思いますね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

お話を伺っていると、薬剤師のあり方をこれから変えていくことにとても期待されているような感じがしました。実際に加藤さんは多くの学生さんと毎日向き合われていますが、若い方たちに対して「今後こうなってほしい」と思うようなことは何かありますか?

加藤さん

加藤さん

そうですね。実際の現場では、病気があって、それに対して治療のために薬が投与されていくわけなんですけど。どちらかというと病気に興味を持たれる方が多いんですね。病気の知識をしっかりとつけて、医師とやり取りできるような人材になろう、と。ただこれをやっていると、悪い言葉で言うところのいわゆる「ミニドクター(※2)」化してしまうんですね。これが行き過ぎると、医師からしても「何も知らないくせに」とやや疎まれてしまうというか。薬学的な視点で現場に食い込んでいくことが、本来は重要なんです。ただ、これがなかなかできていないのが現状で。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

なるほど…、私たちが思う以上に難しいことなんですね。

加藤さん

加藤さん

はい。ただ、薬剤師が知識にしっかりと基づいた声を上げられるようになれば、例えば医師が医学的な視点での疑問を持った時、薬剤師はそれに対して「こうしたらどうですか?」と薬学的な意見を言えると思います。これこそが、本当の意味での多職種連携なんじゃないかなと。医師からも一目置かれるような立場になれると思います。今の学生たちには、そんな人間に育ってほしいですね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

医師と話を合わせることも大切だけれど、薬のプロである以上、薬学的な観点もしっかり持ち続けていくことも欠かせないんですね。

加藤さん

加藤さん

そうなんです。2024年には、医学部・歯学部・薬学部で歩調を合わせる形で大学のカリキュラムが大きく変わる予定なんですけど、そこでもコミュニケーションに関する内容が重視されているんですね。薬学の世界は基礎から応用まで本当に奥が深いのですが、むしろ基礎的な分野をもっと充実させようという方針は縮小傾向にあって。臨床に落とし込める知識もたくさんあるはずなのに、とてももったいないなと思います。やっぱり、薬の知識が豊かでないと、現場で活躍できる薬剤師にはなれないんです。私の師匠である先生も、「薬剤師が薬を知らなさすぎる」とおっしゃっていました。このあたりが、今の薬剤師が抱えている問題点なのかなと思います。だからこそ学生たちには、コミュニケーション力ももちろんですが、薬学の知識をしっかりと深めていってほしいと願っています。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

コミュニケーションを大事にしすぎて、薬剤師として言いたいことを現場で言えないのは確かにあまり良くないことですよね…。仮に現場で意見が対立してしまったとしても、そこで折れずに、ある種〈嫌われる勇気〉を持つことも必要なんですね。

加藤さん

加藤さん

まさにその通りです。

患者だった父の副作用を見抜けなかった
あの時の悔しさに改めて気づかされたこと

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

患者さんや師匠である先生との間などで、何か印象深かった出来事はありますか?

加藤さん

加藤さん

そうですね、ちょっと後付けのようでもあるんですけど。いま研究室で行っている薬の副作用に関する研究は、重篤副作用という死に至るような重いものを扱っていて。私の父が前立腺がんになったことがあって、治療のために薬を飲んでいたんですね。その中には、副作用で肝障害を起こしやすい薬が含まれていました。そしてある日、父から電話がかかってきて。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

お父様は何とおっしゃっていたんですか?

加藤さん

加藤さん

「寒気がする」って。でもその時は、風邪かなと思ってしまったんです。薬の副作用の可能性が、すっかり頭から抜け落ちてしまって。ちょうど翌日に受診の予定が入っていたので、検査をしてもらいました。その結果、異常な値が検出されて、薬物性肝障害だったことが判明しました。自分が親の症状に気づくことができなかったというのもショックだったんですが、他の家族もパニックになってしまって。特に母は、父が生きるか死ぬかのところでがんと闘っていたはずなのに、薬のせいで死んでしまうのかとかなり混乱していました。その時に、病気以外の理由で命が危険に晒されるのはとんでもないことなんだと改めて感じました。身内での出来事だったので、特に印象に残っていますね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

確かに…。治すために薬を飲んでるはずですもんね。お母様が取り乱す気持ちも分かります。

加藤さん

加藤さん

はい。でも、実際には薬の副作用で亡くなっている患者さんもいらっしゃいます。これは本当に無念なことです。治療のための投薬も確かに大事ですが、患者さんがより良い人生を送るためのサポートをすることもとても大切なんじゃないかと。薬でできることはどうしても限界がありますが、いかにその限界の中で患者さんが良い思い出を残せるようにするか、というのも薬剤師の使命だと思います。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

完治だけが目的なのではなく、少しでも病気の進行を緩和させて、生きている時間を過ごしやすくさせるのも薬の大事な役割なんですね。

興味の赴くまま薬学を楽しむ気持ちを
どうか忘れないで

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

いま加藤さんが教えていらっしゃる学生さんなど、これから社会に出る方に対して「こういう心持ちでいてほしい」と思うことがあればぜひ教えてください。

加藤さん

加藤さん

そうですね…、「医療人だから覚悟して社会に出ていきなさい」といったことが一般的だと思うんですけど、薬剤師の場合、薬学を楽しむような心持ちも必要なんじゃないかなと。いま大学の研究室に行くと、「研究がつらい」と言っている学生が結構いるんですね。本当はあまりやりたくないとか、卒業のために仕方なくやっているとか、研究の結果がなかなか出ないとか、理由はさまざまだと思うんですけど。実は以前、カナダのトロント大学に1年間留学していたことがありまして。そこの先生や学生さんが同じようなことを話していたんです。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

同じようなこと、と言うと?

加藤さん

加藤さん

「もっと科学を楽しめ、薬学を楽しめ」って。言われた当時は、楽しめるわけなんてないと私も思っていたんですけどね。あくまで医療人なので、仕事を楽しむというのも不謹慎な話かもしれないですが、仕事により意欲的に取り組めるように何か目標を持ったりするのが一番いいのかなと。そういった意味で、いまの学生たちには薬学の面白さを伝えていけたらと思いますね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

ずっと研究室にこもり続けていると、純粋に楽しむ気持ちが確かに薄まってしまいそうですね…。社会に出て初めてやりがいなどを感じて、楽しさや面白さに気づくこともありますよね。

加藤さん

加藤さん

そうですね。でも、大学の研究室でやっていることも、確実に患者さんのためではあるんです。だから研究室で皆の知識を結集させて、日々実験に取り組んでいくのはとても大切なことで。逆に、学生のほうが頭が柔らかいので、こちらが驚かされることもありますね。限られた知識量ではあるのかもしれませんが、それでもできることはたくさんあるので、学生たちには折れずに研究を続けていってほしいと思います。

転職は〈逃げ〉じゃない
風を通して、世界を広げて

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

いまの職場が辛かったり、あまり自分に合わないなと思っていたりしているけれども新しい一歩が踏み出せない人へ、転職を経験された加藤さんならどんな言葉をかけますか?加藤さんの場合は、つらくて仕事を変えたわけではないのでまた少し違うのかもしれませんが。

加藤さん

加藤さん

そうですね…、思い描いていた理想と現実にギャップを感じてしまうと、確かに苦しいものになってきますよね。ただ、じゃあ具体的に何が自分を苦しくさせているのか?という所をじっくり考えてみるといいのかなとは思います。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

なるほど。原因となっているものを明確化させるんですね。

加藤さん

加藤さん

そうですね。また、ずっと同じ場所に居続けると逃げ場がなくなっていく感覚もあると思います。そういう意味だと、私も常に研究室にいるんじゃなくて、学会に行って外部の人と交流したり、昔の同級生と会って息抜きをしたりするのは欠かさないようにしています。視野を広くしておくような感じですね。もしいまの職場について何か悩んでいることがあるのなら、自分の世界を広げていけるような人やモノに触れていくと、活路が見出せてくることもあると思います。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

閉じこもりがちな世界に、風を入れていくようなイメージですね。確かに私も、高校生の頃の自分は何て狭い場所で悩んでいたんだろうと思いますね。

加藤さん

加藤さん

そうですよね。あともう1つ感じているのは、転職することを逃げだと思ってしまう方が少なくないと思うんですね。自分も元々はそういうタイプの人間だったんですけど、年を重ねてきたからか最近は考え方が変わりました。自分の友人で、どんどん転職にチャレンジしていく人がいて。「自分に合うところを見つけていくのが大事なんだ」と言っていました。1つの場所で歯を食いしばって頑張り続けるのも悪いことではないのかもしれませんが、場合によってはそれが意味を成さないこともあるんじゃないかと私もいまは思っています。

【インタビューに答えてくれたのは…】
大阪医科薬科大学 薬学部
薬物治療学Ⅰ研究室教授 加藤隆児

【経歴】
2000年3月 金沢大学薬学部製薬化学科卒業
2002年3月 大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程修了  
2002年4月 四日市社会保険病院(現JCHO四日市羽津医療センター)薬剤部     2005年4月 大阪薬科大学臨床薬剤学教室 教務職員    
2012年4月 大阪薬科大学循環病態治療学研究室 講師   
2016年2月 トロント大学薬学部 客員教授        
2018年4月 大阪薬科大学循環病態治療学研究室 准教授
2023年4月 大阪医科薬科大学薬学部薬物治療学Ⅰ研究室 教授

【注釈】
※1:TDM
・・・therapeutic drug monitoring、治療薬物モニタリングの略称で個々の患者に適した投与設計を行い,適正な薬物療法を行うためのモニタリングをいう。患者の薬物血中濃度を測定し、薬物動態学的な解析をもとに最適な薬用量、投与法を設定する手法が代表的である。(引用元:日本薬学会)
※2:ミニドクター
・・・医学的知識を追求することに夢中になっている人を揶揄するような意味で使われる言葉