放射線技師から整体師へ
新境地への第一歩は〈経験〉から

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

まず初めに、川嶋さんのお仕事内容を教えていただけますか?

川嶋さん

川嶋さん

株式会社ゆるやか堂の代表取締役で、整体師という立場から人々の心と体にかかるストレスを減らす仕事をしています。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

現在のお仕事にたどり着いた経緯を教えてください。

川嶋さん

川嶋さん

元々、レントゲン技師をやっていました。ある日、寝ている間に急にヘルニアになってしまいまして…。手術以外の手立てがない状態だったのですが、どうしても手術だけは避けたかったんです。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

それは、どうしてですか?

川嶋さん

川嶋さん

“痛みは取れるけれど根本的な解決はできない”という、手術の現実を目の当たりにしていたからです。それで、藁にもすがる思いで整体院に行ったら、なんと治っちゃったんですよ。国家資格では手術でしか治せないと教わっていたので、今まで信じていたものがガタガタと崩れた瞬間でした。「手術をしなくてもヘルニアは治せる」ということを、もっと多くの人へ伝えたいという思いで、整体師になることを決めました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

おいくつの頃、整体師を目指されたのでしょうか?

川嶋さん

川嶋さん

35歳です。当時、レントゲン技師としてそれなりの立場にいたということもあって、妻や同僚などから心配や反対の声もありました。 でも、「今、この気持ちを逃したら絶対後悔する」ということを分かっていたので踏み出したんです。

心身は連動するという発見
〈心持ち〉こそが痛みの調律

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

反対する人がいるなかでも決意が揺るがなかったのは、ご自身の“整体で体が治った”という経験を、「患者さんを助けるために役立てたい」という気持ちがあったからでしょうか?

川嶋さん

川嶋さん

そうですね。「自分が習ってきた西洋医学のベースは、一つの優秀なパーツであって全てではない」ということを身をもって感じたんです。手術をしても再発を繰り返してしまう患者さんを見ながら、「根本的な解決方法を知ったからには伝えないと」という使命感が生まれてきて。当時はスマホが普及していない時代だったこともあり、患者さんはまずお医者さんに頼る傾向にあったのですが、それも追い風になりました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

病院と整体、どちらも経験されてきた川嶋さんですが、それぞれが担う役割についてはどのように考えられますか?

川嶋さん

川嶋さん

病院は手術をすることが仕事なので、手術に至らない患者さんには湿布を処方するか、リハビリで様子をみるかという選択になってしまいます。一方、整体などの民間療法では手術をしなくていいように予防する手助けができます。なので、病院はできれば最終手段に使っていただきたい場所なんですよね。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

なるほど。段階での役割があるのですね。西洋医学(※1)と東洋医学(※2)を学ばれて分かったことはありますか?

川嶋さん

川嶋さん

僕が想像していた以上に“心と体は連動している”ということです。そして痛みは体の限界を知らせる〈メッセージ〉だということ。痛みを出す理由はいくつかありますが、精神的ストレスが引き金となって体に悪影響を及ぼす割合が多いことに気が付きました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

心の影響が大きいのですね。

川嶋さん

川嶋さん

そうですね。民間療法の強みは手術を避けられる可能性のある人たちに「自分で回復できる」という希望を持ってもらえることです。“痛み“には「心も含めてゆとりを持ってもらうこと」が何よりも大事なのですよ。だから今は体のケアの他にもお悩み聞いて、その人に痛みを出す原因を解除していくことも行っています。いわば、“ストレスの〈調律〉”ですね。

目に見えない部分が揺るがぬ〈軸〉に
レントゲン技師で培った知識を活かして

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

整体の世界に踏み込んだからこそ分かったことはありましたか?

川嶋さん

川嶋さん

物理的なものだけじゃなく、“目に見えない部分も考慮に入れていかないと人はバランスをとれない”ということですかね。整体師を目指すまでは、気持ちや感情などの心理的なものには目を向けてこなかったんです。しかし、物理的なものを突き詰めれば突き詰めるほど、エネルギーや周波数といった“目に見えないもの”を理解しないことには、解決ができない問題がどんどんと出てくるようになって。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

“目に見えないもの”を突き詰める難しさはありましたか?

川嶋さん

川嶋さん

幸い、私はレントゲン技師で周波数のプロだったので、“目に見えないもの”が簡単にイメージでき「科学だ」と理解することができました。実際、感情も思考も周波数でできていますし。物理的にも心理的にもバランスをとることができれば、人の手や薬の力よりも“人間の治癒力の方が何百倍も優秀だ”ということが分かったんです。この発見と、「これまでの経験が今に繋がっている」と思えたことで、揺るがぬ気持ちが育っていったのだと思います。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

動きだされてから後悔をしたことはありましたか?

川嶋さん

川嶋さん

ありますね。「諦めたくない」という意味の後悔ですけれど。経営し出すと上手くいかないこともあって、家族や関わってくれた人にも迷惑をかけてしまい、申し訳なさや悔しさがありましたね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

経営は技術とはまた違う苦悩ですよね。後ろ向きになりそうなときに支えとなったものは何ですか?

川嶋さん

川嶋さん

「ここで諦めたら後悔する」という確信です。“人の治癒力の優秀さ”や“心のケアの大切さ”など、軸的なものを思い出したときに、僕の中で「後悔」が重要なキーワードになっていたんです。「ここで諦めたら後悔する」という確信を胸に、目の前のことを精一杯やろう、と自分を鼓舞していました。

〈後悔〉を残さない生き方
周りからエネルギーを集め〈追い風〉に

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

新しいことに一歩を踏み出せずにいる方へ向けてアドバイスをお願いします。

川嶋さん

川嶋さん

「後悔するかどうか」を考えてほしいですね。新しいことに挑戦することは、それなりに覚悟がいると思うのですが、人生を長いスパンで見たときに、一歩を踏み出したほうが「良い人生だった」と思えるんじゃないでしょうか。何かに興味を持ったら、「それをやらない自分に後悔しないかどうか」を自分に問いかけてみて欲しいですね。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

やりたいことに挑むとき、周りを納得させるより先に行動してしまうことがあると思います。それでも、周りを説得することの大切さを知っている川嶋さん。当時、どのようにして周りの方々を説得されたのかを教えていただけますか?

川嶋さん

川嶋さん

私の場合、まず「自分がなぜこれほどにもやりたいのか」ということを丁寧に説明しました。私の父は自分自身が脱サラをして独立した経験があったので、一番反対していたのですが、説明を聞いて一番はじめに応援をしてくれたんです。やっぱり自分の気持ちを理解してもらえるまで伝えることが大切だと思います。人間は誰しも一人で生きているわけじゃないですし、挑戦の道中で必ず誰かの助けが必要になるときがくるもの。自分のエネルギーだけではじめから行こうとするより、「周りのエネルギーをお借りしていく」という気持ちで挑む方が成功率が上がるんじゃないでしょうか。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

周りの人に〈追い風〉になってもらうということですね。

川嶋さん

川嶋さん

そうですね。反対している人ほど追い風になってくれます。

見えない〈痛み〉に寄り添う姿勢が
根本的な〈痛み〉を解除する

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

東洋医学や目に見えない領域まで視野を広げたいと思っていても、医療職の多くが西洋医学をベースに学んできているので、根本的な違いに壁を感じる方もいらっしゃると思います。きっと、踏み出しづらさもあるのかな、と。そういった場合、どのような切り口から勉強するのがよいのでしょうか。

川嶋さん

川嶋さん

“目に見えない領域”に関しては、勉強というよりも、患者さんなどとの会話にヒントが隠れていることを忘れないでいて欲しいです。例えば誰かの話を聞いてあげた際にかけた言葉で、もしその方が笑顔になってくれたのなら、“なぜ笑顔になったのか”をもっと考えてみたり。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

その方の痛みが解かれた瞬間を考えて、仕組みを見つけ出していくんですね。

川嶋さん

川嶋さん

そうです。人の深層心理や脳科学は随時発展していっているので、「なぜこの人はこの声かけで元気になったのか」を追求していけば、自ずと西洋医学を超えた分野に触れることができると思います。物理的な痛みの原因を突きとめるだけでは、根本的な痛みは解消されない。だからこそ、心の痛みを解除することがとても重要なんですよね。僕のとある患者さんは、施術中に日々の不満や悩みを聞いていたら、どんどんと笑顔になっていったんですよ。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

負のエネルギーがしっかりと浄化されて、気が楽になったのですね。まさに「病は気から」ならぬ「元気は気から」ですね。

川嶋さん

川嶋さん

その通り。必ずしもみんながみんな、目に見える治療やエビデンスを求めているとは限らないんです。僕はこれからも“目に見えないものの力”、そして、心と体のバランスを治療を通して伝えていきたいと思っています。

【インタビューに答えてくれたのは…】
川嶋和則さん
心と体のストレスを減らす専門家
ストレスの調律師
元々、放射線技師として病院で勤務。
キャリアを築いていたが、一転、整体師として独立。
周りから猛反対を受けたが、自分のやりたいことを突き進む道へ。
インスタ:https://www.instagram.com/stress_kawashima/
国際ゆるやか協会:https://yuruyaka.net/

・1995〜2008年 診療放射線技師として病院勤務(約13年)
・2008年 整体院「ゆるやか堂」開業
・2009〜2011年 整体学校 校長就任
・2011年 株式会社ゆるやか堂 設立
・2013年 国際ゆるやか協会 設立
・2021年 複数店舗経営および人材育成 開始
今年で独立17年目

【注釈】
※1:西洋医学・・・投薬や手術といった方法で、患部に直接アプロ―チする治療法。
※2:東洋医学・・「鍼灸」や「あん摩」など体の不調を内側から根本的に治す治療法。