対談インタビュー
〈食べる〉は生きていくうえでの〈喜び〉。限界に異を唱え、可能性を追求する言語聴覚士
今回インタビューにお答えいただいたのは、サロンや訪問看護ステーション、バーを経営されている坂本恵美さん。“女性を笑顔にする7事業経営”を目標に掲げる坂本さんに、現在の事業に至った経緯や、一歩踏み出す方へのアドバイスなどを伺ってまいりました。
編集者
クラミー
現在の坂本さんのお仕事内容を教えてください。
坂本さん
脱毛サロンの経営と、訪問看護ステーションと、このバーをやっています。
編集者
りょうちゃん
三つの事業をされていますが、まず何から動き出されたのですか?
坂本さん
たくさん転職をして、たどり着いた一番最初の事業が脱毛サロンでした。「男性の外見を変えたい」という思いがあり、男性美容の入り口は脱毛だろう、と2年前に脱毛サロンを開業しました。
編集者
クラミー
脱毛サロンの前、一番はじめは看護師をしていたとお伺いしたのですが?
坂本さん
病院で3年間勤務した後、元々独立願望があったため、ご縁あって生命保険会社に転職して一年営業マンをしました。生きている人に死ぬときのことを教えてあげる仕事にやりがいを感じていたのですが、未来への投資と、今を楽しむお金のバランスが自分の中でわからなくなってしまって。”今を楽しむ”お手伝いがしたいと思ったので、友人と街コンの会社を立ち上げたのが初めての起業になります。
編集者
りょうちゃん
街コン!!意外な分野でした!
坂本さん
子どもも減っていく中、街コンをどう展開してゆくか見えなくなっていた時、街コンの中にもモテる男性とモテない男性がいることが気になりはじめました。服装であったり、肌が綺麗であったりと、微妙な差ではあるけれど、ある程度やっぱり外見が必要だと気づいたんです。それから、外見を変える仕事に就こうと、美容学校に行ってエステをはじめました。
その中で、なかなか女性でエステをしていてお仕事がうまくいかない子も多く目にして。女性を稼がせたいという想いが根底にあったので、女性の雇用を生むという部分と、男性の外見を変えるという部分と、店舗ビジネスをやってみようという部分が合わさったら、脱毛サロンになりました。
編集者
クラミー
色々な道を通って、必要なものを見つけた先に場所ができていったのですね。
坂本さん
はい。働いてみて直面した問題点を解決しようと動いたら、今に至ります。
編集者
りょうちゃん
保険会社、街コン、脱毛サロンと、誰かを幸せにするところは共通していても、それぞれ違う業種ですよね。違うものに飛び込んでいくのに不安はありませんでしたか?
坂本さん
看護師から生命保険会社に転職したときに、最初の一歩はもう踏み出していて。何か一歩踏み出した後って、二歩目はそれほど怖くないんです。今は新しいことを始めるのに不安はなく、むしろ何かやらなきゃならない、と思っています。
編集者
クラミー
新しいところに踏み出したい、起業したいという方にアドバイスはありますか?
坂本さん
“なぜやりたいのか”という理由を持っておくべきです。ものが溢れているこの時代、想いの強さが鍵であり、“なぜやりたいのか”の想いが強ければ強いほど諦めないし、事業として成り立っていくと思います。だから、アドバイスを求められた時にはまず「なんで(やりたいの)?」と聞くようにしています。
編集者
りょうちゃん
やはり、起業したいという方の話はよく聞くのですか?
坂本さん
バーなので、気軽に喋りやすいのでしょうね。「いずれはこんなことしたい」といった話はよくします。そんな“いずれ”も、想いの強さで早くなると私は思っています。
編集者
クラミー
確かに、想いが強ければ動き出しも早くなりそうですね。
編集者
りょうちゃん
ちなみに、なぜバーを始めたんですか?
坂本さん
共同経営者である薬局経営の同い年の男性と、医療者を応援できる場所があったらいいよねと話したことがきっかけでした。専門的に医療をやってる人も頑張ってほしいし、医療から何かやりたいと動く人にも頑張ってほしいねという話をずっと話していて。私自身も、元々バーやカフェはやりたいと考えていたけれど、やはり収益性などを考慮し躊躇していました。しかし、2人ならできるかも、と思い、昨年末に提案されてからすぐに物件を探し始め、2月にはもう契約していましたね。
編集者
クラミー
なんだかやるべきことが自分に合っている時って、流れがとても早いですよね。
坂本さん
そうなんです。物件の契約にもご縁があり、オーナーの方がぜひ私達にと言ってくださって、あれよあれよと4月1日にオープンしました(笑)。
編集者
りょうちゃん
お客さんの話を聞いたり、見たりして、バーを開いてよかったなというエピソードはありますか?
坂本さん
コンセプトとして、チーム医療の重要性や横の繋がりを作るというのも、自分の中に置いてるので、医療者同士だったら「こっちの方は薬剤師さんでね」「こちらは看護師さんなんだよ」とお繋ぎするのですが、話が盛り上がっていって何か仕事を一緒にやるという話を聞くことが面白いです。また、薬剤師さんになる学生さんが来てくださって、たまたま公務員の薬剤師さんがいらっしゃってて、就活相談ができたこともありました。いろんなご縁を結ぶことで、医療者を応援したいという根本の想いに繋がっていっているのは、やはり嬉しいなって思います。
編集者
クラミー
医療者という括りが一つあるから、人も集まりやすいですね。
編集者
りょうちゃん
7事業経営が目標とお聞きしましたが、そのきっかけはなんでしょうか?
坂本さん
これは本で読んだユダヤの教えからきています。世界で一番お金持ちであるユダヤの人たちの考え方を学ぼうと何冊か本を読んで、「7ポケットを持ちなさい」というのを目にしたんです。7つの収入源ということなのですが、それなら7事業経営したら7ポケットになるだろうと考え、20代後半くらいからずっと目標にしています。初めは周囲にも呆れられていたのですが、徐々に事業数が増えるうちに周りも応援してくれているみたいです。
編集者
クラミー
あと4事業は何をしたいですか?
坂本さん
一つは妊活のアドバイスですね。やはり妊娠出産って二十代、三十代の女性の大きなイベントですし、女性の病気や妊活などをカウンセリングできるような人を増やしたいという思いがあり、そういったスクール事業を狙っています。
編集者
りょうちゃん
確かにいま、徐々にオープンに話せるようになってきましたよね。
坂本さん
そうなんです。しかし、やっぱり看護師さんとか資格を持っている方じゃないと聞いても不安、という方もいるので、医療者として医療の観点から話せたら良いなと思っています。
編集者
クラミー
坂本さんの女性への想いを感じます。女性へ何かメッセージはありますか?
坂本さん
女性は、家事をしながら育児をするなど、マルチタスクをこなす能力が本当に高いと考えています。しかし、数字を追いかけたり、目標を立てることが苦手な傾向にあり、なかなか社会で活躍しづらいのが現状。だから、その能力をこうやって使って欲しいと言うことができれば、女性は輝くことができる。どんどん自分がやりたいことを突き詰めて、キラキラ動いてくれたらいいなと思います。
編集者
りょうちゃん
それに付随して、美容なども女性に楽しんでほしいですね。
坂本さん
そうですね。美容が、コンプレックスが取れて笑顔が増えたり、外に自信を持って出られたり、何かのきっかけになれば良いなと思います。
編集者
クラミー
いま色々なお仕事をされながら、また事業も増やしていかれると思いますが、マルチタスクをこなすにあたって、働き方のルールはありますか?
坂本さん
必ず“書く”ようにしています。定期的にタスクを書き出して脳を整理し、やらなければならないことを可視化することで、なんとか同時にこなせています。
編集者
りょうちゃん
やはり“書く”ってみなさんされていますよね。
編集者
クラミー
坂本さんのように、様々な事業でマルチな働きをする上で、ここが向いているなというポイントはありますか?
坂本さん
戦略を練るのが得意で、それを人に伝えて動いてもらうのが得意なことです。例えば訪問看護の事業の現場では、プロフェッショナルに活躍してくれる方々と関わるのですが、あなたはこの能力が高いからそれを生かしてこう動いて欲しい、としっかりと伝えることで、その方にもきっちり仕事をこなしてもらえるんです。相手の能力を見極めて、伝えることが大事なんだと思います。
編集者
りょうちゃん
元々、人を動かすのが得意なタイプだったのでしょうか?
坂本さん
いえ、はじめは自分自身でがむしゃらに動くタイプでした。しかし、こうやって事業をやるうちに、もしかしたら人の能力を見極めて指示するのが得意かもしれない、と気づき、今の働き方になりました。
編集者
クラミー
闇雲に怒ってもいけないですし、人への伝え方って大切ですもんね。
編集者
りょうちゃん
読者の方の中にも、就職や転職など岐路に立っている方がいると思うのですが、坂本さんは人生の岐路に立った時、何を大事が大事だと思いますか?
坂本さん
「やりたいことや、“好き”を明確にすること」だと思います。今の時代って、例えばYouTuberになることだって、起業することだって、やろうと思えばなんでも出来る時代だと思うんです。だからこそ、例えば自分が医療の道に残るなら、なぜ医療者を目指したのかという原点や、経験を積んだ上で見えてくる世界を踏まえて、これからどんな医療者になりたいのかという意志を明確にすることが大事。自分がどうなりたいか、何が好きで何が嫌いか、ということをひたすらに考えることが大事だと思います。
編集者
クラミー
考えなければ、やりたい事も見えてこないですよね。
坂本さん
そうなんです。私のやりたいことや考えていることと、あなたのやりたいことや考えていることは一人一人全く違う。だから私は、岐路に悩んだ方に、「あなたはどうしたいの?」と聞いてあげられる大人でいたいです。
編集者
りょうちゃん
確かに、人に話を聞いてもらうことで、考えが整理されることがあります。
坂本さん
若い方に、何が好きなの?と話を聞いていると、「好きなことがないんですよね」と返されることが多くあるんです。「でも、ネイルしているよね。好きなの?」と聞くと、「好きです。」と返ってくるんです。好きなことあるじゃん!と思って。そんな、自分の”好き”さえわかっていない若者が多い気がします。でもそれって、自分の“好き”が当たり前だと思ってしまっているだけで、人に話してみたら意外と自分の“好き”に気が付けるはず。日常に溢れている“好き”を見つけて欲しいです。
編集者
クラミー
最後に、ビジネスで成功する方と失敗する方の違いってなんだとお考えですか?
坂本さん
〈成功するまで頑張れる〉か否かです。とにかく諦めないことが大事だと思います。
編集者
りょうちゃん
諦めなかったらいずれ成功すると?
坂本さん
諦めない=同じ行動を繰り返す のではなく、成功する方に向けた改善を諦めずに続ければ、必ず成功すると思います。
編集者
クラミー
心に熱く響きました。素敵な言葉をありがとうございます!
【インタビューに答えてくれたのは…】
看護師と薬剤師がつくったBAR Medista
オーナー看護師 坂本恵美さん
大阪の某大手病院にて病棟看護師を3年経験後、フリーランスとして、営業やコンサル等様々な仕事に従事
その経験を活かして今では、脱毛サロン、訪問看護ステーション、BARを経営している
20代後半からの夢である「女性を笑顔にする7事業」に向け日々活動中