理学療法士としての多忙な毎日〈副業〉で
働き方の打開を試みる

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

現在の事業内容を教えてください。

上山さん

上山さん

主に医療専門の人材業を行なっています。看護師さんや理学療法士さんなど、医療に携わる人を幅広く対象として、転職やアルバイトの斡旋をしています。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

どのようにそこにたどり着かれたのですか?

上山さん

上山さん

もともとは大きな病院のICU(※1)で理学療法士として5年間働いていたのですが、忙しさと金銭面で将来に不安を抱いていたんです。朝7時半に出勤して夜8時まで缶詰された毎日を積み重ねても生活が厳しいままで、3年目になるときに「このままではいけない!」と副業を始めました。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

ちなみに何から始められましたか?

上山さん

上山さん

ブローカー(※2)のようなお仕事から始めました。その他にも物販のネットワークビジネス系、アフィリエイト(※3)やフリマサイトでの物販、訪問販売など、気がつけば4、5個の副業を掛け持ちしていました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

多忙ですね…。副業はどこで見つけてこられたのでしょうか?

上山さん

上山さん

病院の先輩に経営者さんと繋がりのある方がいて、その経営者さんからお仕事を紹介してもらっていました。

試行錯誤での芽生え
医療職のキャリアを支援するために

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

本業をしながら複数の副業をされていることに対して、周りの反応はいかがでしたか?

上山さん

上山さん

母は看護師ということもあり、反対と同時に心配されました。また、副業をすればするほど同僚からは、 変わった人だと思われていたみたいです。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

病院でのお仕事と副業とはいえ別の職種のお仕事をされて、違いを感じたポイントはありましたか?

上山さん

上山さん

ありましたね。病院は一定の仕事がありますし、白衣を着ていたら患者さんから頼ってくださって、喜んでいただけるのがありがたかったです。一方で、副業はやったらやった分だけ成果が出るんですけれど、お客様を自分から探さなければならないので、警戒されたり怪しまれたりして、両極のギャップを実感しました。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

お客様からの頼られ方に差を感じてしまいそうです。

上山さん

上山さん

そうですね。本業をこなしながら副業をする生活は、疲労がたまる一方で正直苦しくて。そんな時に「医療職員のケアは一体誰がしてくれるのか」という疑問が芽生えてきたんです。そこで、2018年の副業解禁のタイミングで“医療職の人生設計を後押しできるような事業”をやりたいと考え始めました。。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

副業で培った営業力が活きそうですね。

上山さん

上山さん

そうですね。根性がついた気がします。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

会社を起ち上げる際に意識したことはありますか?

上山さん

上山さん

“ビジョンの見える化”をすることと、しっかり成果を評価できる仕組みづくりですね。会社は損しないけれど、頑張った人が正当に報われるように設定しました。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

なるほど。社員からのビジョンに対する共感だけでなく、モチベーションを維持するための仕組み作りを大切にされたのですね。

一人の大人として必要なこと
〈地力〉を磨き、強みを増やす

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

かつての上山さんと同じように、転職を悩まれている人からたくさん相談を受けると思うのですが、どのような悩みが多いですか?

上山さん

上山さん

20〜30代前半の医療法人で働かれている方からの相談が多く、仕事へのやりがいは感じているけれど、収入が思うように伸びない、という悩みをよく聞きます。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

この記事を読まれている方のなかにも同じ悩みを抱えている方がいると思うのですが、記事を通してアドバイスできることはありますか?

上山さん

上山さん

そうですね。医療関係者に限らず、僕は1人の大人として、知識の土台を固めるべきだと思います。そのためには、まずは自分の時間をしっかり確保できるような職場に身を置くところから始める必要があります。時間があれば、自分で資格を取ったり、節約や投資などを勉強したりして、お金を生み出す力を高めていくことができるので。そういった経済のリテラシーを20代から30代前半までにつけるべきだと思います。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

確かに。知識をつけていけば、世界の視野も広がりますね。

上山さん

上山さん

なので、弊社のキャリアアドバイザーには、「キャリアアドバイザーだけにならないように」と伝えています。転職をサポートするということはお客様の年収やライフイベントが変わりますよね。もしお客様がライフイベントで困ったときに、幅広く提案できることが理想だと思うんです。これは医療職にも通じていて、専門知識があるからこそ、同時に経済に関する知識も持っていたら大きな強みになると思うんですよ。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

土台が変われば選ぶ仕事も変わりそうですよね。

上山さん

上山さん

もちろん変わると思います。医療の世界の傾向としては、医療法人で働き続けるというより、訪問看護や小規模のクリニック、もしくは起業などと地域包括の方に移動していく時代だと思うので。そこに直面したとき〈地力〉が試されるんですよね。

転職か見直しか
お客様1人ひとりに寄り添ったサポートを

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

相談内容に、「今後の自分のために我慢して頑張るべき」といった場合と「転職を試みるべきな場合」の2パターンがあると思うのですが、それぞれの見分け方はありますか?

上山さん

上山さん

働かれている年数や現場での活動の内容によって見分けています。例えば、勤続歴が短い方や人間関係を理由に何度も転職を試みようとする方に対しては、一度考え直してもらいますね。逆に自分の努力では人間関係が改善されなかった方やキャリアをある程度積まれていて、新しくチャレンジしたい、という〈目的〉が定まっている場合は最適な転職先を提案します。転職はお客様のキャリアに足跡を付けるので、慎重にお応えしています。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

なるほど。その方にとって“何が合わないのか”を明確にしてから行動するべきなんですね。

上山さん

上山さん

そうですね。転職を繰り返さないためには、仕事内容や人間関係などの変化はもちろんなのですが“自分を変える”ということもかなり重要なんです。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

自分の考え方や価値観の見直しですね。

上山さん

上山さん

はい。自分のキャリアを客観的に見られたときにどう思われるか、ということを考えることも大切なんです。

人生を託してもらえるように
自分にしかできない〈コンサルティング〉を目指して

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

現在のお仕事をされてきて嬉しかったことはありますか?

上山さん

上山さん

弊社に頼ってくださった方が思い通りの転職をされていると、やりがいを感じますね。転職の他にも資産形成などのお手伝いもさせてもらうことが多いので、以前「一生相談させてほしい」というお声をいただけたときは、とても嬉しかったです。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

上山さんに出会ったことで人生が変わっていますものね。

上山さん

上山さん

私たちの仕事は、深ぼるとアドバイスというより個人コンサルティング業になると思うんですよね。コンサルティングには"具体的に何かつながるもの"と"助言的な外部的なもの"の2種類あると思っていて。弊社に頼ってくれた方の損を数値的に減らし、具体的なコンサルティングができたときに、よりやりがいを感じるんです。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

目に見える結果ですね。

上山さん

上山さん

はい。お客さんから、この会社で“上山雄司と関わったことで実現できた”と思ってもらえるように頑張りたいです。

働く側の人生”を変えるために
人材の教育と個人力を引き出す環境づくり

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

今後の展望を教えてください。

上山さん

上山さん

まずは会社の規模感を大きくしたいと思っています。現在のスタッフが業務委託も含めて20名ほどで、全員が医療関係者なんですよ。社員100名以上を目指して、まずは関西、そして日本で1番大きな会社にしたいです。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

会社を大きくするために具体的にどのようなことをしていきたいですか?

上山さん

上山さん

医療職が集まってできた会社なので、彼らが卒業した医療大学や職場が沢山あるんです。そういった、一人ひとりの母校で勉強会を開催したいと思っています。そして、学生の教育から変えることで、人材紹介をするだけじゃなくて、“人材の教育”につなげられる会社を目指したいんです。お客様はもちろん"働く側の人生"も変えたいんですよね。

編集者<br>クラミー

編集者
クラミー

なるほど。もっと根本的なところを変えたいのですね。

上山さん

上山さん

そうですね。もっと若い層の考え方を変えていきたいです。あとは自分の会社で資格の認可を作れるようにしたいです。狙いとしては、その資格を履歴書でも利用できて、就職を有利に進められるようにできたらいいな、と。資格の内容は医療に特化した資格でも、FPなどの金融系の資格のように本業とは違う分野の強みを活かせるものでもいいですね。小規模な現場では、医療がすごくできる人よりも経営の知識を持っている看護師や、SNSが得意な看護師といったほうが重宝される傾向があるので。

編集者<br>りょうちゃん

編集者
りょうちゃん

他の人とちがう強みを持っていてくれると、雇用主側も助かりますよね。資格は目に見えるものなので、分かりやすくてとても良いと思います。

上山さん

上山さん

そうですね。“個人の力が引き出せる”教育を提供できる環境を作ることが理想です。

【インタビューに答えてくれたのは…】
上山雄司(うえやま ゆうじ)さん
株式会社AGREE代表・元理学療法士
仕事内容:医療・福祉職専門の転職・バイト相談、資産形成の相談
資格:理学療法士、証券外務員、ファイナンシャルプランナー
経歴
2016年 大阪行岡医療大学 卒
2016年 京都桂病院 入職
           呼吸器内科・外科、ICUに5年勤務
2021年 京都桂病院 退職
2021年 個人事業主
           FP業、通信代理店業、キャリアアドバイザー業
2023年 (株)AGREE設立
現在に至る

【注釈】
1:ICU(集中治療室)・・・危篤な患者さんを治療する病院内の特殊病棟
※2:ブローカー・・・料金や手数料をもらって、取引の仲介を行う人や会社のこと
※3:アフィリエイト・・・自分のWEBサイトやブログ、SNSで商品を紹介し、ユーザーが商品を購入することで収益の一部が還元される仕組み